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確定給付型企業年金はなくなる?〜学びでお金の差がついてしまう時代へ #0023/1000

「確定給付型企業年金」とは?

今日のニュースでとびかった「確定給付型企業年金」という制度。

ご存じでしたか?

この制度は、国の法律「確定給付企業年金法」に基づいて、主に大企業が採り入れている退職金の一種です。

いわゆる国が旗振りして、企業が福利厚生の一環として行っている「老後資金対策」です。

元手は、会社が在籍している社員ひとりひとりの分を負担して、一定の金額を積みたてていきます。

給料額に連動させて毎月の掛け金を決めるケースが多いと思います。

社員には、年2回など定期的に「いまやめたらいくら貰えるよ」という残高通知書が配られるのが一般的です。

そこに記載された金額がもらえるのが、「給付」が「確定」された、「確定給付型企業年金」なのです。

もらい方も年金で受け取るか、一時金で受け取るかなどが選べる仕組みになっています。

では、今日なぜこの制度がニュースで大きく取り上げられたのでしょうか?

なぜ確定給付型企業年金は先細りなのか

今回のニュースの肝は、日本生命保険が、「確定給付型」の企業年金について、契約した会社に約束していた運用利回りをこれまでの1・25%から0・50%に引き下げるということです。

運用利回りを下げるのは、日本生命が初めてではなく、昨年の10月には第一生命保険が1・25%から0・25%へ下げています(「第一生命、企業年金の予定利率引き下げへ 3千社と契約」)。

なぜ、保険会社は運用利回りを引き下げる必要があるのでしょうか?

それは、いま、銀行の定期預金や、比較的安全に資産を運用できる債券の利率が、ほぼゼロ金利に近く、確実にお金を減らさずに増やすことが難しくなっているからです。

株や投資信託は、値上がりもあるけれど値下がりもある商品。

「給付」(支払う金額)が「確定」されている退職金を、そういった商品で運用して、もし目減りしてしまったら。

目減りした分は、約束した運用利回りになるまで、保険会社が負担する必要がでてきてしまいます。

会社側としても、「給付」が「確定」していたら、積み立てた金額がそれより低い場合には、約束した金額までを補填する必要があります。

そこまでの責任を負うのは、なかなかに企業にとって厳しいことです。

以前は大企業で主流だった「厚生年金基金」が、確定給付型と同じようにだんだん運用が厳しくなり、投資顧問会社AIJの詐欺による「消えた年金」で解散にまで至った基金が発生したのは2012年。

(「消えた年金、回収率6% AIJ元社長に実刑判決」)

今の世の中の不確実な情勢では、確定給付型もこのままいくと厳しくなるため、各保険会社も早めに撤退を検討しているのだと思われます。

定年まで同じ会社で勤め上げる人も減ってきている昨今、社員の老後の面倒までを会社が責任をもってみるという前提が、変わり始めています。

時代は確定「拠出」型年金へ

変わって増えているのが

「掛け金は毎月出しますから、ご自分で好きな方法で運用してくださいね」

という「確定拠出型企業年金」。

こちらは名前のとおり、「確定」するのは「拠出」(掛け金を出すこと)であって、渡す金額が確定なわけではありません。

うちのグループも、以前は確定給付型だったのが、昨年10月から確定拠出型に変わりました。

これからは、お金にどう働いてもらうかは、自分で学び、自分で決めなければいけない時代。

全く学ぼうとせず、定期預金で塩漬けにしておくのと、少しでも学んで、国内外の債券と株式に分けて運用した人とでは、運用の結果に天地の差が出る時代です。

確定拠出型年金については、また次回詳しく。

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