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労働者派遣には許可が必要、派遣NGの職種もあります#0206/1000
労働局が、労働派遣法違反で法人と個人を告発
福島労働局が、労働者派遣法違反で告発を行ないました。
今日はこの内容を見ていきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1665664799946-BESK2amnYK.png?width=1200)
違反の内容は、以下の2つです。
禁止業務である建設業務への労働者派遣(労働者派遣法法第4条第1項第2号)
無許可での労働者派遣(同法第5条第1項)
これに違反した場合の罰則は「1年以下の懲役又は百万円以下の罰金」(同法第 59 条)となっています。
ですが、日本の法制度は、違反したと思われたらすぐに罰則、ではありません。
労働局ができるのは「告発」のみ。
それを警察署が受理し捜査が行なわれ、罰則を適用するのは司法。
ひとつ機関に権力が集中し一方的に断罪されないよう、ちゃんと役割が定められています。
![](https://assets.st-note.com/img/1665665319073-iHbcC6ZVTx.png?width=1200)
告発の対象となっているのは、「株式会社伍神工業」。
ですが、法人だけではなく、「同社郡山営業所従業員 A」という個人も対象となっています。
これは、労働者派遣法の特定の項目に違反した場合「両罰規定」になっているから。
両罰規定とは、「会社の業務として社員が違反をしたら、その社員だけでなく会社にも罰金を科しますよ」ということ。
それだけ、社員が違反してしまうケースが多く、厳しく取り締まりたい内容だということです。
どうして無許可の派遣や、建設業への派遣がNGか
労働者派遣は、1986年に「労働者派遣法」ができたことで始まった、新しい雇用形態です。
通常、企業と個人は1対1で労働契約を結び、個人はその企業の指揮命令下で働きます。
派遣は、使用者が派遣元と派遣先とふたつあり、個人はあくまで派遣元と雇用契約を結びますが、指揮命令は派遣先から受けます。
その際、派遣元と派遣先の間では派遣契約が必要となるなど、通常の労働契約よりも当事者が多く複雑です。
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派遣先に景気の調整弁とされがちで不安定なイメージのある派遣社員。
急に仕事がなくなって社員が困らないよう、ただ人手不足を補うだけではなく人材としてスキルアップしていけるよう、また、労災事故がおきやすく安全管理が肝要な職種で、管理監督者の当事者意識が薄くならないよう、法律は、派遣会社にいろいろな制限をかけています。
そのひとつが、派遣業をおこなうには都道府県の許可がいること。
これにより、きちんとスキルアップできる体制をとっているちゃんとした会社なのか、という点などが確認されます。
そして、派遣労働を禁止している職種があること。
これにより、安全管理が肝要な職種などは、責任関係が明確な、シンプルな雇用関係になるように制限されています。
ですが、今回は、その2つともに違反していたことになります。
なぜ違反していたことがわかったか。
それは、その違法に派遣されていた労働者が、派遣先の堀削作業工事現場で地山の崩壊に巻き込まれ死亡する災害が発生したことが原因です。
これは、あきらかな労働災害です。
こういったことが起きないために、労働者派遣法には細かな決まりがあるわけで、違反したからこそ、起きてしまった事故といえます。
法で定められていることには、何か、たとえば労働者を守るための理由がある。
法律のある意味を、あらためて踏まえておきたい案件です。