今日の厚生労働省メルマガ~みんなでパブコメ! #0009/1000
各省庁のメルマガはお役立ち
霞が関の各省庁はそれぞれにメルマガを発行しています。
私もいくつか登録していますが、なかでも以下の2つは毎日目を通しています。
国税庁ホームページ新着情報配信サービス
https://www.nta.go.jp/merumaga/news_toroku.htm
厚生労働省 新着情報配信サービス
https://www.mhlw.go.jp/mailmagazine/shinchaku.html
理由は、「税と社会保障」の情報をリアルタイムで得るためです。
では、どんな情報を知ることができるのでしょう?
例として、今日の「厚生労働省 新着情報配信サービス」から、おっと思った記事をとりあげてみました。
助成金、延期されるかされないか
厚労省メルマガには「審議会等」コーナーがあり、先日とりあげた「労働政策審議会」など、厚生労働省にひもづく審議会等の実施状況がレポートされます。
今日は、先週の金曜日3/18にひらかれた「労働政策審議会」の「雇用環境・均等分科会」の議事と配布資料が紹介されていました。
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24624.html
3つある議事のなかのひとつは、
「妊娠中及び出産後の女性労働者が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ること
ができるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する告示案要項について」。
長い!
資料をみると、形式通り、冒頭には厚生労働大臣からの「貴会の意見を求める」と諮問であることがしるされています。
この案はこんな内容です。
新型コロナウイルス感染症の感染が拡大していくと、妊娠中の女性労働者は、職場における作業内容等により、感染リスクを感じて強く不安に思う場合がある。
その心理的なストレスは、母体・胎児の2つの命の健康に影響を与えるかもれしれない。
そこで、もしそのことについて医師等に指導を受けたと女性労働者から申出があったら、会社はその指導に応じて、
作業の制限
出勤の制限(在宅勤務又は休業)
等の必要な措置をとるものとするよ、というものです。
そもそも、
妊娠中・出産後1年以内の女性労働者が、
健康について医師等から指導を受け会社に伝えた場合、
医師等からの指導を守るよう、必要な措置(通勤緩和、休憩、症状等に関する措置(作業の制限、勤務時間の短縮、休業等))をとらないといけない。
これは、会社に義務付けられています(男女雇用機会均等法第13条)。
今回は、それをコロナ感染リスクのストレスに絞った内容ですが、どうして今回これについて意見を求められているかというと、これに応じた会社への助成金制度があるからです。
内容としては、医師等により「休業が必要」とされた妊娠中の女性労働者が使える休暇制度(有給休暇とは別物)をつくり、実際その休暇を労働者が5日以上とった場合に、1回に限り15万円出しますよ、というものです。
この制度が、今年令和4年3月31日までで終わりだったのを、「まだコロナが落ち着かないから、来年の3月31日までにしましょう」というのが今回の案です。
こういった法改正については、「ひろく一般市民の意見をきかなければならない」と法律で決められています。
これを「パブリックコメント」といいます。説明は一番下です。
今回のこの法改正についても、パブリックコメントが募集されていました。
期間は、令和4年2月21日から令和4年3月17日まで。
あつまった意見は、2件。
内容は、以下のとおりです。
「妊娠中及び出産後の女性労働者」と書いてあるが、「女性」と書くのは時代遅れだ
延長前期間の終期直前に通知するのではなく、事業主が期間内において適切に措置を講じるため、余裕をもって通知を行ってほしい
https://www.mhlw.go.jp/content/11901000/000915740.pdf
前者については、今のところはまだ妊娠が可能なのは一般的に女性という性別なので、むむ…と思いますが、後者についてはもっともです。
今年の3月が期限の助成金を来年3月までに延長する、ということが、直前の3/17までの意見公募というスケジュールなのですから。
このパブリックコメントは、集めることが義務付けられているだけではなく、そのコメントに対して応えることも義務付けられています。
応えるとは、
もっともだと取り入れる
取り入れられないものには、その理由を示す
どちらかをする、ということです。
このパブリックコメント、たまにTwitter等でものすごくもりあがって意見がたくさん集まる案件もありますが、だいたいはひっそりと募集されています。
雇用調整助成金についても3月末までだったのが、6月まで延長が決まったのはぎりぎりでした。
しかも、「ぎりぎりだからこの決まりに基づきパブリックコメントはしません」という言い訳つき。
こういうのは実務上も、市民の声が届かないという意味でも、「困る」と私は思います。
こういうことを「困る」と思う人は、言わないより言ったほうが、少しだけでもまだ良くなる可能性があります。
私もたまにパブリックコメントをのぞきにいっては、気になることにはコメントいれたりしています。
気になったら、ぜひ一度のぞいてみてください。
ここです。
【参考】パブリックコメントとは
パブリックコメント(意見公募手続)とは、行政機関が命令等(政令、省令など)を決めるにあたり、事前に命令等の案を示して、その案についてひろく国民から意見や情報を募集するもので、2005年6月の「行政手続法」の改正により導入されたものです。
参考:総務省ホームページ
緊急な案件は、雇用調整助成金のように、意見の募集を行なわない場合もあります。
例えばこんなふうです。
「公益上、緊急に命令等を定める必要があることから、行政手続法第39条第4項第1号に該当するため、意見の募集を行いませんでした」
ですが、原則としては「求めねばならない」ということになっています。
国民としては、どんどん意見をよせて、行政機関にニーズを伝えていきたいではありませんか。