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両立支援コーディネーター基礎研修でまなんだこと② 労働者にも「自己保健義務」がある

両立支援では、労働者の傷病の治療にかかわる会社側の言い分と医療機関の言い分の違いや、職場の健康管理の仕組み、会社側の安全配慮義務についても学びます。

「安全配慮義務」は労働契約法第5条で定められている会社側の義務で、裁判につながることもあり、会社側としては必ず知っておくべき知識です。

その一方、この「安全配慮義務」と反対の意味合いをもつ、「自己保健義務」という言葉は、あまり聞く機会がありません。

「自己保健義務」という言葉は、法律で規定された言葉ではありませんが、厚生労働省の資料には、以下のようにあります。

「労働者の健康の保持増進には、労働者が自主的、自発的に取り組むことが重要である」

事業場における労働者の健康保持増進のための指針
(令和4年3月31日 健康保持増進のための指針公示第10号)

この「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」というのは、国が、労働安全衛生法にもとづき、会社での労働者の健康保持増進措置を推進するために更新・公表されて続けている資料です。直近では、2022年3月31日に更新がされました。

つまりは、会社には安全配慮義務があり、労働者自身で取り除くことができない要因等については会社が積極的に対策をしていかなければなりませんが、労働者自身で取り除くできる範囲については、労働者にもその対応がも求められているということです。

たとえば、健康診断は、労働安全衛生法で会社に労働者に受けさせる義務があるとされています。

ですが、その当人である労働者が、その健康診断を受診しなかったりした場合、「自己保健義務」を怠っているといえます。

その場合、万が一なにかがあったときに労働者が会社側の「安全配慮義務」を声高に言ったとしても、そこにはやはり会社側に配慮されるべき部分が生じます。

今日両立支援コーディネーターの講義で学んだことのひとつに、
「健康診断は、異常を発見するだけではなく、いまの状態を記録としてとどめることも目的」
ということがあります。

2023年にどういう健康状態だったかをきちんと健康診断を受診して記録に残せば、翌年2024年にそれと比べてどうだったかがわかり、会社側としても配慮すべきことに気づく可能性があります。

だからこそ、労働者は「自己保健義務」として、健康診断やメンタルヘルスチェック等はすすんで受けるべきです。

また、労働者には健康診断以外でも気をつける部分があります。

これは自分への戒めとして記しますが、激務で睡眠時間が短いときに、ストレス解消で趣味に没頭し、さらに睡眠時間を少なくして、自分の健康をおびやかすことも、「自己保健義務」に反することだと思います。

会社側には安全配慮義務があるが、労働者側にも労働を提供する側として配慮すべきことがある。

そのことは、きちんと肝に銘じておくべきと思います。

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