こころの不調も相談しやすくなるように〜令和5年度「少子高齢社会等調査検討事業」の報告書より
厚生労働省が、こころと身体の健康状態や、こころの不調について身近に感じる程度などについて行なった意識調査の結果を公表しました。
回答者は3,024人、男女ほぼ半々となっています。
この調査は、年代や同居人の有無などさまざまな角度から、こころと身体の健康状態について見える化されていますが、なかでも私が気になったのは、身体の不調、例えばがんの場合より、こころの不調の場合のほうが、家族に相談することに抵抗をおぼえる人が多いということです。
自覚したら家族に相談する、は、がんの場合で41.5%、こころの不調で30.5%。
診断を受けたら家族に相談する、は、がんの場合で52.6%、こころの不調で44.6%。
どちらも、10%前後こころの不調のほうが低くなっています。
ですが、こころの不調のほうが、身体の不調に比べ、比較的見てわかりにくいですし、病状も理解しにくいもの。
だからこそ言いにくい、ということもありますが、そのような複雑な事情のあるこころの不調のほうが、より早めに家族で共有し、ともに対応したいところです。
同じ調査では、「こころの不調の理解促進のための施策・社会的支援体制」についても問うています。
その結果、全体トータルの回答と、ストレスや不安感に何らかの対応をしている人の回答の差がもっとも大きいのが、
「こころの不調を抱える者に対する差別的・不当な取扱いの禁止」
です。
つまり、そこには、一般に考えられているよりも現実とのギャップがあるということ。
いまは周りに対象となる人がいなくても、もしかしたらそういうこともあるかもしれない、と考えておく。
人間、不安な環境を自分ごととして仮定するのは気が進まないものですが、ひとりでも多くそういう人が増えていけば、そのギャップも軽減し、家族に相談できる人も増えていくのではと思います。