【フリーランス保護法】募集時の的確表示・明示はどうなる?0593/1000
フリーランス保護法は、2023年4月に成立しました。
よくあることで、フリーランス保護法は通称、正式な名称は「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」といいます。
「特定受託事業者」=フリーランス、というのは、「個人番号」=マイナンバー、のように頭に入れておくと情報キャッチがしやすいかもしれません。
そのフリーランス保護法の各条文には、細かい点を「政令で定める」「省令で定める」としている箇所があります。
法律は国会が定めるもので、変える時にも国会の承認が必要になり、手続きが煩雑になります。
大事な骨格である法律は国会で決める必要がありますが、内閣が定める政令や、各省庁の大臣が定める省令は、それにくらべると短時間で臨機応変な対応が可能です。
つまり、フリーランス保護法は成立したものの、政令・省令で定めるとしている細かな運用については、いままだ議論されている部分もあります。
そのひとつが、「募集時の的確表示・明示」についてです。
2023/11/6、「第5回特定受託事業者の就業環境の整備に関する検討会」で、そのあたりが話し合われています。
「特定受託事業者」が出てきました!
ちなみに、そのフリーランス=特定受託事業者に仕事を発注する側を、「特定業務委託事業者」といいます。
フリーランス保護法の第12条で決められているのは、以下の内容です。
(募集情報の的確な表示)
第十二条 特定業務委託事業者は、新聞、雑誌その他の刊行物に掲載する広告、文書の掲出又は頒布その他厚生労働省令で定める方法(次項において「広告等」という。)により、その行う業務委託に係る特定受託事業者の募集に関する情報(業務の内容その他の就業に関する事項として政令で定める事項に係るものに限る。)を提供するときは、当該情報について虚偽の表示又は誤解を生じさせる表示をしてはならない。
2 特定業務委託事業者は、広告等により前項の情報を提供するときは、正確かつ最新の内容に保たなければならない。
つまり、フリーランスを募集するときに、省令で決めるやり方で、政令で決める情報を出すときは、それに、嘘偽りをしたり、誤解を招く書き方をしてはいけない、ということです。
一方、契約締結の時には、第3条で、「特定受託事業者の給付の内容、報酬の額、支払期日その他の事項」を、書面または電磁的方法(Eメールなど)で明示しなくてはならない、と、法律の本文で示されています。
契約締結時に、フリーランス保護のために絶対守るべきことは法律さだめ、募集時の、募集の方法や情報など、その時により変動が大きそうなものは、政令・省令にまわしているわけです。
いま検討されている政令・省令の判断基準となる資料として、アンケート結果が提示されています。
これを見る限りでは、不特定多数に向けた依頼を受けない派は5割を超えている一方、SNSなどで受ける派も約2割強はいることがわかります。
募集時と契約時の条件は一致していたとの答えが8割近いのにたいして、微妙に不一致だったり古かったりしたのが2割ということも見て取れます。
今後、SNS等による不特定多数への募集、それへの応募は、増えることはあっても減ることはなさそうです。
よほど不一致がひどければ、契約締結時にNoといえば問題ありません。
ですが、断るのは苦手、という人もいることを考えると、やはり自分で応募するか選べる状況で、不一致のない、なるべく細かな情報が提供されると良いのではと思います。
そういった方向に議論が進むことをのぞみます。