司馬遼太郎「街道をゆく ニューヨーク散歩」②
元ヤクルトスワローズの古田敦也さんがWBC(ワールドベースボールクラシック)だったかの試合解説をしていたときのことです。
「どうやって3つアウトを取るか、ずっと考えています」
「野球ってどうやってアウトを3つ取るかというゲームなんです」
と言っていました。
私でもアウト3つでチェンジになるくらいのルールは知っていました。でも、言い方を変えてくれると、目から鱗になることがあります。このときがそうでした。
野球って「どうやって点を取るか」のゲームだと思ったいた私は、古田さんが逆の言い方をしてくれて、納得がいったのでした。
少し言い方を変えるとか端的に言ってくれると、初心者は急にわかった気がしてくるものです。
司馬遼太郎さんの「街道をゆく ニューヨーク」では、付箋を貼りたくなるような文章が随所に出てきます。いくつか引用させていただきます。
スポーツと言っています。
司馬さんはホテルのメイドやルームキーパーにお礼をいうようになります。気軽にありがとうと。メイドたちは「You are wellcom」とか「My pleasure」とか言っていると思われますが、司馬さんの英語力では「ムニャムニャ」としか聞こえません。
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この随筆に書かれていることはすべて司馬さんの考えです。だから「~思う」とか「~ではないだろうか」という表現がもっと多くてもいいはずです。でも、司馬さんは言い切ってくれます。失礼な言い方かもしれませんが、まるで見てきたかのように断定してくれます。だから、すんなりと入ってくるのだと思います。
それも、司馬さんの膨大な知識とバックグラウンドあってこそです。誰が語るかは大事なことですね。司馬さんが語れば断定的な表現が実に当たり前です。読み手は司馬さんはそう思っているのだと受け入れていきます。