下駄と纒足 『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』感想文

職場のグループの中でいちばん若い女性Aが30代の男性Bにイジられていた。すかさず、女性自らグループのリーダーに「Bさんがイジってきます〜」と言ったが、リーダーはそれには答えず、30代の男性の嗜めるような発言でその場はゆるく流れた。穏やかなやりとりだった。その後、ちょっとタイミングをずらして私が「BさんはAさんのことナメてるからな〜」というとBさんは心底びっくりした顔をしていた。

子どもには『イジリはイジメ』と言うのに女はイジっていいのがこの社会ということだ。特権階級にいるのがうらやましいな…。

男の人が履いている下駄を一個一個壊して歩きたいけれど、壊された男性は歩きにくいし、精神にもダメージを受けてしまう。こっちが加害者になるのか?「いい下駄を履いてますね〜」と言っても伝わらない。ただただ、何かが削られていく。
女性をイジる男性にもそれを助けない男性にも怒れるし傷付く。それは、男性が下駄を履いてるからではなく、女性を纒足にしているからだ。

そんな気持ちでいた時に江森百花 川崎莉音『なぜ地方女子は東大を目指さないのか』を読んだ。
私には到底解けないような難しい問題を解ける東大生のミソジニーにぞっとした冒頭から始まり、綿密な調査結果にはびっくりするようなものもあった。また、「地方が抱える問題は、若年女性が『出ていってしまう』ことではなく『帰ってこない』ことだと考えています」はまさにその通りで、職場の20代の女性も「今帰ってもルミネのような寄れるところがないから残業してる」と言っていた。

おわりにある「教育関係者の皆様へ」にある言葉を重く受け止めつつ、教員採用試験で差別的な考えをもつ人を炙り出す内容を設定してほしいと思った。私たちは纒足を減らし、裸足で歩ける道を作る側でありたい。

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