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勇気を出して婦人科にいったら、ピル(と座薬)でQOLが格段に向上した話

ツイッターのトレンドに低用量ピルが表示されて、あれっと思ったのが先日のこと。たどってみたら、ホリエモンさんの新刊に「低用量ピルで女性の働き方改革」という項目があるらしいですね。

きっかけは「低用量ピルで女性の働き方改革」

内容が気になって近所の本屋さんに出かけてみたら、まだ発売前なんですって。見出しだけで話題になって、キャッチーに攻めたのは著者かはたまた、編集さんか、ほくそえんでいるのかなあ…と思っていたら、すぐにYouTubeに動画がアップされていました。

「低用量ピルで女性の働き方改革」について説明します【東京改造計画】>>

この問題そもそも、女性特有の生理について男性が口をはさむということに、抵抗を感じる女性も多いと思います。わたしだって、生理痛がつらいときにたとえば夫や上司から「ピル飲めば?」って言われたら、カチンとくるかも。

でも、動画を見終わったわたしは「いいね!」をしました。
ぜひ、内容については動画を観てもらうのがいいと思うのですが

・生理について男性は学校や社会でほとんど知る機会がない。そのため、ピル=避妊せずにセックスができると考えるバカも多い。

・ピル=あばずれが飲むというひどい誤解がまだまだ多い。そのため、低用量ピルを飲んでいる人も、人に話しにくい。結果、普及しない。

というくだりには「なるほど」と思いました。
男性には生理のつらさは分からないし、知識としても知らない。そうするとまずは自分目線から「ピル=避妊具をつけずにセックスができる」と考えるのも致し方ない部分があるのかもしれません。

そして、生理のつらさは分からないという部分って、男性に限った問題でもありません。
生理ってとても個人差が大きい。だから、親子などの親しい女性同士でも理解しあえないことが少なくない気がします。

わたしは10~20代のころとても生理が重くて、市販の鎮痛剤ではままならず婦人科で座薬鎮痛剤を処方してもらっていました。アウトドア等と重なりそうなときは、ピルでずらすこともありました。
今は40代、ずいぶん前のことなので参考にならない部分もあるかもしれませんが、今、生理でQOL(クオリティ・オブ・ライフ)が脅かされている方、悩んでいる方、誰かの役に立つかもしれないと願って個人的な経験ですが書いておきたいと思います。

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日常生活に支障をきたすほどの生理痛とは?

「わたしはとても生理が重くて」と書きましたが、そもそも人によって痛みに強い人もいれば、弱い人もいますよね。転んで同じようにひざをすりむいても、ケロッとしている子もいれば、痛いとずっと泣く子もいます。
だから、自分は生理が重いほうだ、と認識するのがまず難しいんです。

「月経困難症」の目安も日常生活に支障をきたすほどの場合といった感じで、あいまいな部分があったりして。
みんなもガマンしているんだし、と耐えてしまいがち。

わたしは中高生のころにはもう、生理の2日目にはかなり慎重になっていました。だって登校後に生理痛がひどくなってしまうと、早退したくても、学校から家まで自力で帰るのがしんどかった。

特に夏はなぜか、はいつくばって耐えるほどの痛みになることも。(なんで夏はつらかったんだろう…水分不足??)
例えるなら、骨盤をハンマーでガンガン叩かれるような痛み。
市販の鎮痛剤は、飲むタイミングが少し遅れると効いてこないことも多くて、そうすると最後は吐いてしまう。
社会人になってからも、生理の2日目は仕事を休むことが多かったです。

当時、休みの連絡をする直属の上司(50代男性)が、奥様がやはり新婚のころにとても生理が重かったそうで、曰く「家に帰って、真夏なのに女房が毛布をかぶって震えていたときは、心底驚いた。出産後は大分ラクになったらしいけどね」理解してくれたのが幸いでした。

でも、生理ってたとえ周期が整っている人でも、1~2日ずれるのは珍しくないはず。ぴったり予測は難しいのです。当日急にはどうしても仕事を休めない、休みにくい、という人のほうが多いのではないでしょうか。

わたしは20代のころサマーキャンプの指導員や、子ども会でレクリエーションをするボランティアをしていたんですが、8月の暑い日に生理が当たってしまったことがありました。
子ども会に出向いてのレクリエーションは通常、ゲームリーダーと子どもたちの中に混ざるスタッフと合わせて3~4人体制。ひとり病欠してもなんとかなるのですが、この日は人員不足で私ともう一人だけ。休みますとは言えませんでした。

あらかじめ鎮痛剤を飲んで参加したものの、途中から痛みで立っていることさえできなくなり…結局、平謝りして早退させてもらうことになってしまいました。
ところが炎天下、自転車をこいで家に帰ることもできなかったのです。道の端にしゃがんで吐きそうになっていたところを、「休んでいきなさい」と声をかけてくださったのは、近くの新聞配達の営業所から出てきてくれた男性でした。
正直、男の人についていくのは怖さもありましたが、結局、冷房の効いた室内で少し休ませてもらって、なんとか家に帰ることができました。

救世主は、婦人科処方の座薬鎮痛剤(要冷蔵)

家の近くの婦人科を受診したのは、そのあとです。ネットで検索すると、家から歩いて行ける範囲に2件の産婦人科がありました。1件はお産を扱っているA産婦人科、サイトは妊婦健診、母親学級、面会についての内容が中心でした。もう1件はお産は扱っていないBレディースクリニック。サイトには、更年期障害、月経困難症、ピル相談といった内容が。
よし、Bレディースクリニックへ行ってみよう、と。

最初の問診票には、初潮の年齢、生理周期、性経験や妊娠経験の有無について書いたと思います。
市販の鎮痛剤では効かないほど生理痛が重いと訴えたところ、座薬タイプの鎮痛剤を処方してくれました。病院にもよると思うのですが、内診はありませんでした。
この座薬が、わたしには救世主だった。ものすごくつらいときでも、効きました。すーっと痛みから解放されるときの、あの感じ。

しかし。
処方された座薬は体温で溶けるしくみ。だから要冷蔵なんです。救世主はいつもわが家の冷蔵庫の、ドアポケットの一番上が指定席でした。

ところが。
翌年の夏だったか、ボランティアの指導員として参加するサマーキャンプの日程が、運悪く生理と重なってしまったのです。
8月の暑い盛り、山登りや沢遊びもあるハードスケジュールの2泊3日。
わたしは座薬を、お弁当用の保冷バッグに入れてキャンプ場まで持ち込みました。こっそり、移動中のバスでは最前席前の冷蔵庫の中へ、キャンプ場についたら食材を入れておく冷蔵庫の中へ入れるしかない。
未使用とはいえ、人に見つかったら食品をしまうところに入れないでよ、って言われるだろうか。しかし他に方法はない。

結果、見つかりました。責められはしなかったのですが、忘れ物と間違われ、小中学生&スタッフ全員の前で中を確認され、これは誰のー?と聞かれるハメに…。
恥ずかしいだけならまだよかったのですが、要冷蔵の薬と知らないスタッフが冷蔵庫の外に出してしまっていたので、溶けてしまっていざというときに使うこともできないわけです。苦労してキャンプ場まで持ち込んだのに(涙)

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ピルで生理周期をずらすという選択肢

そこで翌年からはピルを処方してもらって、あらかじめ生理のタイミングをずらすようにしました。

詳しくは婦人科のサイトなどで確認してもらえたらと思うので、ざっくりとした説明ですが、前の月からピルを飲んで早めに軽い生理を起こす方法と、ずらしたい生理をピルを飲んで遅らせる方法があります。
わたしは、サマーキャンプ中にピルを飲み忘れるのが怖かったので、早めに生理が終わるように調整していました。

ちなみに、これは2000年頃の話で、当時は低用量ピルがまだ普及していなかったので、処方されたのは中用量ピルです。
はじめてのときは、うっすらと吐き気を感じる副作用がありました。

人によって飲み始めに、つわりのような症状が出ることがあるそう。薬になれると気にならなくなることも多いという説明を受けた記憶があります。血栓のリスク、もともと高血圧だと注意が必要という説明も受けました。

日本で低用量ピルが月経困難症の治療に用いられるようになったのは、2008年。わたしたちが耳にしたことがあるピルの副作用って、それ以前の中用量ピルのものである可能性もあるんじゃないかな、と思います。
低用量ピルでは、副作用も軽くなっているはずです。また、ピルにもいくつか種類があるので、その人にあうものを探すこともできるはず。

そもそも副作用がある=悪い薬というわけではなくて、この薬は胃が荒れやすいとか、眠くなりやすいとか、よくあること。
もちろん、ひとりひとりの体の状態、考えにもよると思いますが、わたしにとっては、ピルの副作用よりもここぞというときに生理の日程をずらすことができるというメリットは、断然大きかったです。

周期が定まらないとか、経血が多すぎるとか、生理痛以外にも、生理の悩みって人によっていろいろだと思います。
症状によっては、基本的に毎日ピルを飲み続ける(必要に応じて飲むのをやめて生理を起こす)スタイルのほうがよい場合ももちろんあると思います。でも、受験やスポーツの大会、旅行、結婚式など、大事な予定と生理が重なりそうなときに、短期的にピルを飲んで生理をずらすという方法もあることを知っておいて損はありません。
一度ピルをためしてみたいという人のとっかかりにもいいのでは。

わたしは、中学生の娘には部活の試合の前などに、「生理が当たりそうだったら、ずらす方法もあるよ」と話しています。ピルで生理の予定をコントロールするには、ある程度生理周期が分からないとならないので、生理のあった日をメモしておくようにと。

娘は今のところ、生理痛に困るほどではないようです。
親子でも、違うものです。
わたしの母も生理痛というものを経験したことがないそうで、相談もできなかった。

勇気を出して婦人科を訪ねてほしい理由

婦人科というのは、誰にとっても、ちょっとハードルが高いものです。たとえ出産経験があっても、内診はイヤだよね、ってみんな思うし。

今は病院で処方してもらわないとならないピルですが、低用量ピルをドラッグストアで、緊急避妊用のアフターモーニングピルをオンラインで買えるようにしよう、という議論もあります。

わたしは決して、これに反対ではありません。
でも、もしも娘が生理が重くて悩んでいたとしたら、できれば勇気を出して、いちど婦人科に相談してみようって話すと思います。

重い生理が、なにかの病気のサインだったりするかもしれないし。
それに、虫歯の治療だってただの風邪だって、病院やスタッフの雰囲気、治療の選択肢や説明の良し悪しってあるじゃないですか。なんとなく自分が信頼できる病院を選んで通うじゃないですか。

婦人科だって同じ。これから妊娠・出産・更年期でお世話になることだって、あるかもしれません。できれば信頼できるかかりつけ医が持てたらいいし、そのためにも、婦人科に慣れておくって悪いことではないと思います。

性経験がないときの婦人科は不安、そうだよね

なかにはまだ性経験がなくて、婦人科を受診するのが不安という人もいますよね。「内診は怖いのですが」と正直に伝えていいんです。もし、それであなたがイヤだと感じる対応をされたなら、堂々と断って、別の病院を探してほしい。

あくまで一つの経験談でしかないのですが、わたしは生理痛が重いのが不安で、まだセックスの経験がないときに婦人科を受診したことがあります。電車で一時間以上もかかるところだったけれど、女医さんで、女子中高生の相談にも乗りますとサイトに書いてあるところを見つけました。

(ちなみに出産を経験して女医さんにこだわる必要はなかったと今では思います。女医さんにこだわりすぎて、よい病院や医師との出会いを逃すリスクもあるので。でも、最初はできれば女医さんがいいと思うのは、仕方がないですよね)

問診表で性経験なしにチェックをしただけでしたが、先生のほうから、「できるだけ超音波エコーでお腹の上から調べましょう」
「内診が必要な場合もありますが、タンポンと同じくらいの細い器具を使うようにしますね」と言ってもらえました。同じような気遣いをしてもらえる病院に出会えますように。

避妊のためのピルだって、堂々と利用できるべき

そういえば「緊急避妊のモーニングアフターピルは、72時間以内にご相談ください」の張り紙が、この病院にはありました。もう四半世紀、25年も前のこと!!
そこからほとんど、日本のピルの普及は進んでいないように思います。

オンライン処方は便利かもしれませんが、72時間というのは、土日を挟んだりするとギリギリの場合も多いでしょう。まずは通える範囲の婦人科のサイトをチェックして、ピルご相談くださいというところを見つけておけたら第一歩だと思います。

わたしは医療の専門家でもないし、こんなに古い経験談は大して役に立たないかもしれません。
でも、生理に悩んでいる女の子、なかなか相談相手のいない女の子も、我慢しすぎないでいいんだよ。それだけは伝えたくて、娘に伝えるような気持ちで、書きました。

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