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【特別コラボ】密かに注目を集める「性」の自己管理ツール――アプリ『アイナーノ』の挑戦
性に関するアプリは、その独自性ゆえに議論を呼びがちな分野です。しかし、そんな中でも静かに、そして確実に注目を集め続けているアプリがあります。それが『アイナーノ』です。
「自慰行為を数値化し、視覚化する」というユニークなコンセプトで2018年にリリースされたこのアプリは、2024年末に10万ダウンロードを達成。性欲の増減を記録することで、自分の心身の状態を知り、性の自己理解を深めるきっかけを提供しています。
今回、『アイナーノ』の開発者にお話を伺うことができました。斬新な発想と実直な努力から生まれたこのアプリには、どのような思いや背景が込められているのでしょうか。そのストーリーをひも解いていきます。
対談:性の自己理解を深めるアプリ「アイナーノ」開発者に聞く
開発のきっかけと背景
マヤラブエッセンス(以下、マヤ):性欲の増減に注目したアプリ「アイナーノ」を開発された経緯について教えてください。
アイナーノ:一般的に、男性の性欲は二十歳前後でピークを迎えると言われていますよね。でも、私は十代から二十代が非常に淡白で、逆に三十代になって性欲が増してきたのです。それまでパートナーに性生活の少なさを愚痴られることもありましたが、三十代になってからは日に日に性欲が増しているのを実感しました。
振り返ると、十代は勉強、二十代は仕事に追われ、精神的な負荷が大きかったのだと思います。精神的に余裕ができた三十代から、ようやく本来の性欲が表れてきたのでしょうね。
そこで、2018年に、自慰行為の頻度や傾向を記録し、視覚化できるアプリをリリースしました。自分の性欲が「病的」なのか、それとも錯覚なのかを客観的に把握したかったのです。
性欲を数値化する「指数」とは
マヤ:自慰行為を数値化するために、「指数」を取り入れているとのことですが、その仕組みを教えてください。
アイナーノ:「指数」のアイデアは、当時話題になっていた水道橋博士のラジオ番組がきっかけでした。「くりぃむしちゅーのオールナイトニッポン」で、水道橋博士が「週に7回の行為で指数は1.00」という話をしていたのです。この考え方をアプリに取り入れました。
具体的には、一週間に7回の行為を基準にして指数を「1.00」と設定しています。例えば、月に21回の行為だと指数は「0.72」となります。この数値を基に折れ線グラフを作り、「バイオリズム」として視覚化する仕組みです。
興味深いことに、ハーバード大学の研究によると、男性が月に21回以上射精を行うことで、前立腺がんの発症リスクが低減するというデータがあります。指数を活用すると、こうした健康指標も参考にしながら、自慰行為の頻度を管理できるのです。
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Googleに「冒涜的」と言われたアプリの挑戦
マヤ:性に関するアプリを開発する中で、困難に直面したことはありますか?
アイナーノ:Googleに繰り返しアプリを削除されるという問題に直面しました。「冒涜的なアプリだ」と判断され、何度もストアから排除されたのです。性に関するアプリの収益化も厳しく制限されています。この分野で活動するのは、まだまだハードルが高いと感じますね。
ただ、それでもユーザーからの支持があることは大きな励みです。2024年末には、念願の10万ダウンロードを達成しました。この数字は、私が想像していた以上に多くの方が「アイナーノ」の価値を感じてくれた結果だと思います。
女性ユーザーの声が進化を生んだ
マヤ:現在の『アイナーノ』は、当初の構想からさらに進化を遂げていますよね。リリース後に特に影響を受けたものはありますか?
アイナーノ:女性ユーザーからのフィードバックが大きかった ですね。当初は、自分のための記録アプリとして作ったのですが、意外にも多くの女性ユーザーが使ってくれるようになり、「こんな機能がほしい」というリクエストが増えていきました。
マヤ:具体的には、どのようなリクエストがあったのでしょう?
アイナーノ:「生理周期との関連も記録したい」「オーガズムは一行為につき一回ではない」「デザインをもっと柔らかい雰囲気にしてほしい」などですね。こうした声を受けて、アプリは次第に機能を拡充。生理日の登録機能や排卵日の予測、オーガズムの複数登録、テーマカラーの選択 などが実装されました。特に「セルフプレジャー」という言葉を採用したことが、女性ユーザーにとって使いやすいアプリへと進化する大きな要因になったと思います。現在、『アイナーノ』のユーザーは10万人を超えていますが、そのうち多くの女性ユーザーが、セルフプレジャーと真剣に向き合いながら活用してくれています。
性の自己理解を深める意味
マヤ:性の自己理解を深めることで、どのような気づきが得られるのでしょうか?
アイナーノ:性欲の増減を記録することで、精神的な不調やストレスとの関係が明確になります。私自身、性欲が低下した時期を振り返ると、仕事が忙しかったり、プライベートでトラブルがあった時期と一致していることが多いのです。
記録をつけることで、「この時期は大変だったな」と後から気づくことができますし、好調な時は指数が「1.00」を超えることもあるので、それを見ると爽快な気持ちになります。
メッセージ
マヤ:最後に、読者に向けてメッセージをお願いします。
アイナーノ:「アイナーノ」は、性欲の増減や行為の回数に疑問を感じた方にとって、役立つツールになると思います。性欲にはメンタルや生理周期との相関があり、長期的に記録を続けることでその変化を楽しむこともできます。
性に関する自己理解を深めたい方に、ぜひ試していただきたいですね。そして、引き続きユーザーの声を反映させながら、より良いアプリへ進化させていきたいと思っています。
性の自己理解を深めるきっかけに
今回お話を伺った中で、『アイナーノ』の開発には開発者自身の実体験と深い探求心が込められていることがよく伝わってきました。その誠実さとユニークな視点には、読者の皆さんも多くの刺激を受けたのではないでしょうか。
性欲の増減や心身のバランスを記録するという行為は、単なる数字の管理を超え、自分自身を知る大切な手段になります。『アイナーノ』を通じて得られる気づきは、性に対する新しい視点や健康管理へのヒントにもつながるはずです。
マヤラブエッセンスの読者の皆さんも、ぜひ『アイナーノ』をダウンロードして使ってみてください。そして、その感想を教えていただけると嬉しいです。性について真摯に向き合うそのプロセスが、きっと日々の生活をより豊かにしてくれるでしょう。
『アイナーノ』アプリについて
『アイナーノ』は、自慰行為の頻度や性欲のバイオリズムを記録し、視覚化するためのアプリです。シンプルなデザインと独自の「指数」機能で、心身の変化を客観的に把握できるツールとして、多くのユーザーに支持されています。
現在、iOS版とAndroid版が利用可能です。性の自己理解を深める一歩として、ぜひ試してみてください。
iOS版ダウンロードリンク:
Android版ダウンロードリンク:
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