安物買いの銭失い
少し前ですが、日本のニットブランドがパリの展示会に出品するということで、お友達に誘われて通訳としてお手伝いをさせていただきました。全く知らないファッションの世界・・・むしろちょっと苦手な世界の裏側を見て、お勉強になったことや興味が湧いたこともあって、自分の職業とは違う体と頭の使い方をしてとってもリフレッシュになりました。
開催日の前日に会場に入ってバタバタと準備をしている時に、主催者から「明日の朝イチでライブストリーミングに出演してほしい」と言われ・・・固まる。ロシア、中国、日本など渡航できない国の人たちに向けて英語でのストリーミングということで、全く知識ない通訳の私がやることになり、徹夜でブランドやニットウェアについて猛勉強しました。
いろいろ調べる中でやっぱり一番気になったのは
・ファストファッショントレンドの危険さ
・動物の扱い (animal welfare)
・環境への配慮 (environmentalism)
・公正取引 (fair trade)
・流通、品質管理の追跡可能性 (traceability)
など、今いろんな業界で話されているエシカル問題について(日本で使われるエシカルの意味がいまいち理解できてないけど・・・)。
⚠️ちなみに私は“🍉”と呼ばれる極端なgreen partyなどには興味はありません⚠️
本来ニットウェアは代々受け継ぐことのできる、本当の意味でのサステイナブルなお洋服だそうです。それがいつの間にか質の悪い(糸の繊維・編み方が悪いせいですぐに型崩れをしてしまう)ファストファッションブランドが主流になってしまい〈ニットウェア=長持ちしない〉という評判を作ってしまいました。上質なニットウエアを大切に使えば余裕で4,50年持つのだそうです。良い糸を使ってしっかり編まれたものなら簡単に修復できるので孫の代まで受け継げるものなのに、「元々長持ちしない物なんだから穴があいたら捨てればいい」というイメージがついてしまい、結局それが大量にゴミを出し環境破壊に繋がっています。ニットウェアに限らず、皮・コットン・デニム・・・すべての生地に言えることかもだけど、ウールの質に関して言えば、羊の飼い方・毛のかり方、また羊飼いさんとの関係性によって繊維の長さと強さが劇的に変わるらしい🐑。すごく興味深いと思った。
ただ環境問題の話になると【物作りの過程】ばかりがフォーカスされがちで「どれだけ環境への負担が少ないか」「動物の飼育環境が整っている」などが重要視されるけど、最終的な【物の質】が悪くてすぐに着られなくなってしまったら全く意味のない事。最近ファストファッションブランドでも「リサイクルした毛糸で作ってる」とか「廃棄物をアップサイクルしている」とか聞くけど、それよりも商品がどれだけ長持ちするかを買う側がしっかり見極めることが大切なのだそうです。
サステイナブルって結局は消費者の責任と覚悟だと思う。【一生この商品を大切に使い続ける】という覚悟。昔、私の叔母に「二十歳を過ぎたらTシャツ1枚、スプーン一本、一生大切にしたいと思えるものだけを買いなさい」と言われたのを思い出し、今になって猛反省しています。心がけていたつもりだったけど、ふッと自分のワードローブを覗いてみると、どれだけ物とお金を無駄にしてきたか・・・まさに【安物買いの銭失い】の象徴のよう・・・。毎年毎年トレンドセットして大量生産しているファッション業界ももちろん大問題なんだけど、それに流されない自分の目とスタイルを持つことが一番の環境保護なのかなと思う。ワードローブをパンパンにしていながらミニマリストに憧れる私(😅)に、とても大切なことを思い出させてくれたイベントでした。