見出し画像

「無能の鷹」はやっぱり神ドラマだった件

今期のドラマで期待せずに見始めてハマってしまったのが「無能の鷹」
あと1回で終わってしまうのが名残惜しい。

基本は会社の中の話なので、仕事をめぐる社内・外の人が鷹野ツメ子と触れ合うことで変わっていく(もしくは元の自分を取り戻していく)有様が描かれているんだけど、第7羽(話)は「恋」にまつわる話から始まる。

パートナーの不倫疑惑に悩む主人公鷹野ツメ子の上司・鳩山だったり、社内恋愛している恋人からプロポーズを受けて悩むあまり占いに救いを求める先輩・鵜飼は、わりとどこの会社でもいそうなものだ。

そして、鷹野の同期でもう一人の主人公・鶸田は名前通りなんとなく気弱だけれども、実は物事の分析に長けた新入社員で、いつもの展開だと見た目に反して仕事ができる鶸田なのだが、今回うっかり運用を任されているECサイトの看板商品の商品名の表記を誤ってしまうというミスをしてしまう。

そこで出てくるめちゃくちゃヒステリックな社長みたいな人も、「あぁ、こういう人、いるよね~」となるような人で、こういう理不尽な怒り方をされたことがある大人は世の中多いのではないだろうか。

そして、今までならただ理不尽な怒りをぶつけてくる人に屈するだけだった鶸田が、クライアント企業の不都合な現実を社長に突き付けるシーンはフィクションだと分かっていても、スッキリしたし、確かに半沢直樹的な展開だ。

そこで、威厳があることが社長の証と思い込んでやってきたけど、いつからかそのせいで社員が社長に何も言えないようになってしまっていたことに気づく。そして、その気づきから「言葉が足りないから不信感が増すの」という言葉が飛び出す。

これが冒頭の恋の悩みを抱える社員にも当てはまっていて、
不倫を疑う鳩山は仕事で泊まりの妻と全然話ができていないし、鵜飼とその恋人のパッと見ロックなシステムエンジニア・鵤(いかるが)もお互いの好みについて話し合いが足りず、お互い辛くなってしまっていた。

鳩山と鵤に共通するのは「パートナーとの肝心な会話が足りない」ということと、「普通」であることに悩んでいるところ。

鳩山は妻が「普通」な自分に飽きたことが不倫の原因だと思っているし、鵤は本当は「普通」なのに鵜飼は「普通」な自分を好きではないだろうと思って無理にロックな俺を気取っている。

結局鳩山の妻は普通なところがいいと思っている上に、不倫もしていないし、鵜飼も1mmもロックなところが好きだなんて思っていない。

普通って何だろう?見た目が目立たないとかそういうことなんだろうか?

結局のところ、誰かをいいなと思うのは見た目だけじゃなく、その人の人間性だから、自分に対しての態度とか関心が自分の方に向いているかどうかって人が多いんじゃないだろうか。そうなると、比較するものもないから普通も何もないんだろうけど。

でも、そんな些細なすれ違いを放置するときっと大きな隙間風が吹いて修復不可能になってしまうんだろうな。

自分も身につまされる話。さて、次の話も楽しみで仕方ない。


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集