B視点から見た「無能の鷹」
0. ドラマ好きを解き放った理由
実家暮らしをしていた時は、朝食のラジオ時間以外はほぼテレビがかかっていたので、家にいると何となくテレビを見る生活を送っていた。
一人暮らしを始めるあたり「テレビなし生活してみたらどうだろう?!」と思って、実際にテレビなしで生活してみることに。
そんな生活を初めて、早9年。結論、特に支障はない。
テレビは必需品だと思い込んでいたけど、そうではなかったようだ。
正確に言うと、昔はテレビに代わるものがなかったから必需品だったけど、今はテレビがなくてもテレビのコンテンツをPCで見ることができるからなくても大丈夫な時代になっただけだと思っている。
とても感情移入しやすいタイプだから、テレビや小説で登場人物の気持ちになったり、ストーリーが気になりすぎて仕事中にも考えてしまうことも度々あった。
だから、超マジメ人間だった私はテレビなしの生活をすることに決めたんだ。
一度決めたことを破るのはどうかということで、今年になるまではたまにAmazon Prime Videoで数年前のドラマやアニメ、映画を見るくらいだった。
でも、感情移入するほどのドラマ好きな自分を押さえつける必要がないんだ!と今年に入って思えるようになり、今は自分の見てみたいドラマはできるだけ自由に見るようにしている。
ドラマを解禁して今クール見始めたのがテレビ朝日で放映されている「無能の鷹」
いっけん仕事ができるように見えて全く仕事ができない鷹野ツメ子と冴えない見た目だが物事を分析するのに長けた鶸田(ひわだ)道人という同期コンビが周りの先輩を巻き込みながら成長していくストーリー。
第1羽(話)の中で、クライアントの前で指導係・鷹野(菜々緒)が鶸田(塩野瑛久)が紹介する態度と先輩・雉谷(工藤阿須賀)が鶸田を紹介する態度とが、この前読んだ「戦略的いい人残念ないい人の考え方」で説明されていた典型的なB(ブリッジ)とその反対の態度だったので、自分の理解を深めるためにも整理してみようと思う。
まず、残念な例から。
1. 残念ないい人(先輩・雉谷)
いかにも新入社員然とした立ち居振る舞いの鶸田を不安げに見つめるクライアントに対し、
「やっぱりわかっちゃいますかね~、新入社員って。ハハハ」と笑ってごまかす以外、何も相手を安心させるような一言を言わない。また、途中で先方から鶸田が意見を求められ、言葉に詰まった場面でも全く助け舟を出さず、商談の感触は良くないまま終わってしまう。
鶸田に対し「初手の印象が弱すぎるのは営業として致命的」、「分析センスや提案内容は悪くない」と言って終わっている。
これをB(ブリッジ)視点で考えると、以下のような点が残念。
新入社員・鶸田がシュート(成約)しようとしている時にパスを出していない
鶸田の価値(新人ながら分析センスがあり、提案内容もしっかりしている)を言語化して伝えていない
自分が雉谷なら、「鶸田は新入社員ですが、社内でも分析力は高く評価されておりますのでご安心ください」って言うかな~。
2. 戦略的いい人(同期・鷹野)
いかにもシゴデキな見た目なのに驚くほど会社員としての基礎的な事柄を知らない鷹野ツメ子。
会社では「無能の鷹野」と言われていることも知っている。
先輩・雉谷の後を引き継いで(仕事ができる)鷹野が来たと勘違いしたクライアントに対し、「私なんて無能の鷹野と呼ばれているんですよ。でもご安心ください、鶸田は私よりはるかに優秀なので」と言ってクライアントと鶸田の両方を安心させるような紹介をした。
B(ブリッジ)視点で考えると、以下のような点が素晴らしいと思った。
仕事ができそうな鷹野が優秀と言ったことで、クライアントが鶸田の話を聞こうという態度になった
鶸田も優秀と言ってもらえたことで自信(※)を持って発言できるようになった
※本では「自己重要感」と表現されているものと同じ仲間(鶸田)や相手(クライアント)の利益を考えて発言している
3. 戦略的いい人(主人公・鶸田)
緊張するとすぐお腹を壊すくらい繊細で月曜の朝が憂鬱な印象が薄い新入社員だが、鷹野と一緒に行った商談では「相手にとって役に立つこと(=現状のシステムの課題とその解決)を提案する」に徹する姿が印象的だった。
また、魅力的な提案でクライアントの気持ちが契約に傾きかけてきたときに実際の導入経験がないことを指摘された時の対応もとても参考になるもので、自分は経験がないことを正直に打ち明けた上で自分の得意な点を伝え、「担当が自分ということが不安なら、別の担当に変えてもいいから、うちのシステムの検討をしてもらえないか?」と言ったのだ。
B(ブリッジ)視点で考えると、以下のような点が素晴らしいと思った。
自分の会社のシステムを導入してもらいたい<<<クライアントの課題解決に尽力している
自分が目立とうとせずに「全体益(自分が担当を外れても自分の会社のシステムを導入してもらうことでクライアントの課題解決をする)」を考えて行動している
いっけん仕事ができそうな先輩営業で残念ないい人・雉谷が、鷹野と鶸田の影響を受けてどう変わっていくのか、これからが楽しみなドラマである。