「グリーンブック」-寂しいときに寄り添える存在。
※以下一部ネタバレを含みます。
週末最後の夜は、
映画「グリーンブック」を鑑賞。
これまで、友情を描く鉄板の感動系だよね、と
勝手に分類して、見る機会を逃してきた。
見終わってみると、そんな先入観は
すっかり消えていて・・さすがは名作。
段々とふたりが距離を縮めていく様子が
とても自然でしっくりくるし、互いを
大切に思う気持ちが伝わってくるような
温かい映画だった。
まったく違う世界に生きる対照的なふたりの
主人公が出会い、グリーンブックをたよりに
困難を乗り越えながら旅が続いていく・・
1960年代、アメリカ南部。
何気ない日常に色濃く根付いている黒人差別。
黒人と接する1人ひとりがどう考えているか、
など関係なく、世の中の悪い風潮がもはや文化
として染み付いていて、思わず所々で「えっ」
と声が出てしまう。
シャーリーはいつも、ぐっと堪えて品良く
振る舞っていたがその心の傷は計り知れない。
そんな積み重ねからなのか、どことなく常に
距離を保ち、一歩引いて見ているような印象を
受ける。
深くは描かれないが「性的マイノリティ」と
いう彼自身の特性も相まってシャーリーの
「孤独」にもっと触れたい気持ちになった。
今でこそ「多様性」という言葉が社会で
叫ばれるようになり、それぞれ解釈や尺度は
違えどなんとなく通ずるものがあるし、
それを認めようとするマインドがある。
けれどこの映画が描く当時のアメリカでは
第一に認められるべき人権すら尊重されて
いなかったという事実。
教科書で学んではいたが、「こんな感じだった
のか・・」というショックを受けた。
誰かをひどく傷つけてしまう「人」の存在。
けれどシャーリーが抱えている孤独や寂しさに
付かず離れずちょうどいい距離感で寄り添える
トニーの存在があったように、心のすきまを
埋められるのもまた、「人」の存在。
ひとは、寂しさや孤独からか
反対に周囲と距離を置きたくなることがある。
そんな時こそ、ささやかでも寄り添える人の
存在が大切なのだと思う。
シャーリーがトニーに出会えて、
本当によかった。
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