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匿川 名
2022年12月14日 23:08
1 ある会話少年はまたそこを訪れることにした。切り立った山の向こうに、その『ほこら』はある。そこは『禁忌の地』だ。彼の所属する『集団』には、そこに行くことは決して許されてはいなかった。少年は身軽に、少しの危なっかしさもなく岩と岩の間を飛び越え、その間に汗もほとんどかかないままだった。やがて辿り着いた岩山の切れ目に身を滑り込ませる。陽射しが届かなくなると、そこは完全な暗闇に包まれる。