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【展覧会レポ】こんな展示見たことない…見渡す限りの宝物 創建1200年 神護寺-空海と真言密教のはじまり-@東京国立博物館

東博の平成館にて行われている特別展
―創建1200年 神護寺 空海と真言密教のはじまり―
最高にいかした展示だったので、
もっと早くに行っておいたらよかった!と
後悔しているところです。
会期:2024年7月17日(水) ~ 2024年9月8日(日)
今週で会期終了なので
まだ見にいっていない方は、駆け込み寺ならぬ
駆け込み美術館なさってください。
行けなかった後悔はあれど、行って後悔することは絶対にございません。 

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↑国宝 神護寺本尊 薬師如来立像

ここがすごいぞ、神護寺展

今年で、創建から1200年という大変に歴史のある
由緒正しいお寺さんです。その神護寺さんが所蔵する歴史ある宝物の数々を、一挙に鑑賞することができます。これは過去を振り返っても、希少な機会と言えるのではないでしょうか。次は100年後になるかもしれないよね。

国宝・重要文化財が盛り沢山

展示目録を見るに、◉国宝が17点、◎重要文化財が43点と、錚々たる作品が展示されています。
一度展示で、こんなにも貴重な作品を見れる機会もなかなかないのでは?
(展示品の入れ替えなどはあるかと思います。)

美術館ならではの展示の工夫・面白さ

美術館ならではの鑑賞しやすいライティング
光の映り込みがない透明度の高い見えないガラス
今回、展示されていた仏像には目に玉眼(水晶の瞳)をはめ込んである作品もあったのですが、まるで生きている人の様に目がきらきらと煌めいていて、いつまでも観ていたくなりました。

仏像を様々な角度から楽しむことができる

観光や寺巡りの際に、参拝されて仏像を鑑賞されることもあるかと思います。秘仏として、一般公開されていないものから、厨子の中に鎮座されている像まで公開方法は様々あるかと思います。今回の展示では本尊の薬師如来立像、脇侍の菩薩まで360°様々な角度から間近に見ることができます。
仏像の後ろ姿や、横顔をじっくり見ることのできるのは美術館展示ならではです。

特に気になった作品まとめ

他の方がすでに主要な作品について、素晴らしい展覧会レポートを乗せていらっしゃるので、私はちょっと違った視点から作品を取り上げて見たいと思います。

◎弘法大師像

1面 鎌倉時代 14世紀 所蔵:京都・神護寺所蔵大きな1枚板を使った、一木造です。浮き彫りとなっています。五鈷杵や水瓶などの一部はより立体的に見えるようにでしょうか、別材をついであります。仏画、仏像は多いのですが、板材の浮き彫り表現は珍しいように思えます。どことなく中国や東南アジアの石仏群を彷彿とさせるを作品です。展示ケース前に御簾がかけられており、美術館にいながらお寺に参拝に行った時のような没入できる工夫がされてあります。とても遊び心のある展示の工夫がなされていました。


◎真言八祖像

8幅 鎌倉時代 13世紀 京都・神護寺所蔵
密教と関わり合いのある僧らの頂相(ちんそう)です。
頂相とは、僧の肖像画を指します。これが立体物になると頂像(ちんぞう)と呼ばれます。
他の肖像画などと比べて、少し違和感を持たれる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
それもそのはず、画面一番手前には脱いだ履物が描写してあります。普段目にする僧侶の方が履いている物といえば、雪駄や草履のイメージが強いかなと思います。ただ、この頂相に描かれているのは沓(くつ)。正式な法衣を着用する際に着用する、法堂沓(はっとうぐつ・ほうとうぐつ)と呼ばれる履き物です。こうしたところからも、当時の唐の様式などを垣間見ることができて、とても興味深いです。鑑賞の際には、画面に描かれている方だけでなく周りのアイテムなどにも注目していただけると、鑑賞がもっと楽しくなりますね。


◉風信書 空海筆 

1巻 平安時代 9世紀 京都・教王護国寺(東寺)所蔵
真言宗の開祖として、広く教えを広めた伝えた優れた宗教家でもある空海ですが、書の達人でもあります。唐に渡った際には、仏教の他にも当時最先端であった唐の書や筆の作り方を学び日本へと伝えました。有名な「弘法筆を選ばず」という諺は、空海のおくりなである弘法大師からきています。平安三筆と謳われた優れた能筆家である、空海の書をじっくり鑑賞できるのは、美術館ならではではないでしょうか。のびのびとやわらかく、かつ力強く、メリハリもありつつ自由で遊び心も感じられる。そのような印象を書から受けました。墨も黒々としており瑞々しさを感じます。とても1000年以上前のものとは思えないほど状態が良いです。とても大切に保管され、今へと続いていると思うと言葉にできません。私の文字では、この素晴らしさを伝え切ることが出来ないので、是非間近で絶筆をご堪能ください。


◉山水屏風

国宝 山水屏風 6曲1隻 鎌倉時代13世紀 京都・神護寺所蔵現存するやまと絵としては最古のもの。元は貴族の邸宅用のものであったが、後に密教の灌頂用(かんじょう・密教で頭に香水を注ぐ儀式用)となったもの。ただ美しい屏風としてだけでなく、空間の仕切りに使う実用的な調度品として、使われていたものと思われます。貴族や当時の人の営みと細かに描写しています。特に、位の高い貴族の女性達の十二単の着物の色合わせなどがお洒落です。青青とした山々は緑青の岩絵具が用いられています。
(孔雀石・藍銅鉱などの鉱物を砕いて、絵の具にしています)


・紫潭祥雲 

1面 江戸時代 
若狭小浜藩の第2代藩主の酒井忠直が神護寺に奉納した美しい硯。
かなりの大きさがあり、裏面には文字が刻まれています。
石の自然の風合いも大変に味わい深く、
硯の陸・海もなだらかな線も美しいです。
この硯石は小浜の名石とされる、赤紫の味わい深い色合いの美しい石です。おそらく鉄分を多く含む鉱物で、鳳足石と呼ばれる石と思われます。
若狭は良質な硯の材料としても有名で、江戸時代には、
小浜藩が自由採掘を禁止とし贈答用のものとして大切にされてきました。
この美しい硯を使うことができたのならば、
それだけでも美しい字を描くことができそうです。
石好きの人も是非見ていただきたい、本当に美しい赤紫です。


撮影可能なスポット

本展示、一部撮影可能なスポットがあります。
私も、二天王立像を撮影して参りました。
写真を見返すと、鑑賞していたときの気持ちが蘇ってきて何度でも観てしまいますね。

持国天

腰を捻り、右腕を上に掲げる様子が勇ましい像です。袖や腰の衣が風で激しくはためいています。増長天が静とすれば、持国天は動の像でしょうか。神護寺では増長天と共に楼門に安置されています。
踏まれている邪鬼がなんともユニークで、顔がムニュとしていて、足をバタバタつかせているのが伝わってきます。

腰を捻ったポージング
目線もいただきました
ぐぇーとなってる邪鬼さん

増長天

足を軽く開き、静かに直立しています。 
右手には戟(げき)と呼ばれる、矛のような武具を持っています。持国天が動とすれば、増長天は静の像でしょうか。神護寺では持国天と共に楼門に安置されています。
こちらの邪鬼は、口を曲げていてムスッとした顔をしています。そろそろどいてほしいのだけど、といった様子でしょうか。
思わずクスッとしてしまいました。

クールな佇まい
遠くを見る視線が素敵
不服そうな顔の邪鬼さん

ミュージアムショップ

公式図録

260ページ超えのこれまた重量感のある図録です。
こんなに詳細な写真+丁寧な解説がついて、税込みで2,800円。お安すぎでびっくりしちゃいました。
東博さんに神護寺さん、慈悲深すぎやしませんか。
生涯、大切にします。

歴史の重みが図録からも伝わってくる

ポストカード

SNSにアップしてもOKですと手書きポップ付き。優しい。こういったお土産で買った作品のポストカードものって、写真あげても大丈夫かな。と思ってなんだかんだで、あげなかったりするので、こうしてSNS投稿いいですよと書いてくださるの本当に嬉しいです。

東博さんの気遣いの心、ありがたし
高雄曼荼羅より金剛界の一部

高雄山神護寺 クラウドファンディングへの挑戦

国宝 梵鐘の音を未来へ
現在、神護寺さんでは鐘楼堂屋根の修復をクラウドファンディングで募っていらっしゃいます。
現在残っている貴重な品々は、
過去の人たちが今の人達へと絶やさないように
努力してくださった賜物だと思います。
未来の人たちへ、歴史を残していくための一つの方法としてクラウドファンディングでの支援いかがでしょう。


おわりに

兎にも角にも、長くなってしまいましたが
東博で神護寺展が見られるのは、残りわずかとなりました。この機会に是非、素晴らしい宝物の数々を見に上野へ足を運ばれてはいかがでしょうか?

#展覧会レポート #美術館レポート
#東京国立博物館 #東博 #神護寺展


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