外人女子からみた苗字の世界
地元の韓国は苗字の数が少ない
日本人でも、金(キム)、李(イ)、朴(パク)という苗字は一度耳にしたことがあると思う。この三つの苗字は、韓国の代表的苗字であり、数字で表すと韓国に存在する苗字全体の約45%(?)を占めるほどである。その数がとても多くて、見つけるのが不可能に近い状況を「ソウルで金さん探し」と呼ぶくらいだ。おそらく、日本のように苗字で人を呼んでいたら、大混乱を巻き起こしてしまうだろう。
普段あまり呼ばれることないけど、私の苗字は「李(イ)」である。勿論、韓国全体人口の15%を占めるほど、ありふれた苗字である。こんな韓国の事情を知らない日本人の友人たちに、「私の親はイとイ同士で出会って、結婚したんだよ」というとまるで運命的な出会いのように、「凄い!」と反応してもらえるのだが、韓国では実に普通のことである。
苗字を獲得するために、日本人と結婚したい
いくら日本語が達者な私だとしても、私の名前が李○○であることは変わらないし、外国人ということを打ち明けると、不思議がる人や、急にナメてくる人、もしくは永遠にK-POPを話題に話しかける人などに絡まれるという事態も何度も経験している。そのため、私は日常の多様なシーンで、偽名を使っている。
私の作名パターンは、
➀ その時点で、付き合っている人の苗字を使う。(一番多いパターンかもしれない)
② その時点で、どこかで見かけて良いと思った苗字をランダムで使う。
(間宮貴子の曲をよく聴いていた頃は、間宮という苗字が素敵だと思ったので、間宮を愛用していました。全国の間宮さんすみません)
③ 苗字由来ネットとかを参考にする。
である。
②、③の場合、実際ハマる苗字がころころ変わる上に、何の縁のない苗字を使っていると、どうしても嘘っぽく感じてしまうのだ(リフリー症候群の人みたい)。
➀の場合、上手くいくと将来その苗字の人になる可能性も十分ありえるということから、割と自然に使えてしまうのだ。
*実際、外国人が日本人と結婚した場合、苗字を変える必要はないが、配偶者の苗字を使った通称名というものが作れる。
名前というものは、普通授かるものである。気づいたら、李○○になっていたし、今は他の名前が想像つかないくらい、自分らしい名前だと思うが、子供の頃はもっと可愛げがあって、女の子らしい名前がほしいと思っていた。自分がどう思っているかは関係なく、よっぽど酷い名前ではない限り、みんな身内を含めた他人につけられた名前で、一生生きていく。自分の意志ではなく、ある意味「仕方なくつけられた名前」であるため、変えようとも思うことすらなく、仕方なく一生使っていくのだ。
しかし、望んでいたわけではないが、一生に一度自分で自分の名をつけられるというチャンスが私には巡ってきているのだ。その意味で、私は男性を見る時、苗字をかなり気にしている。全国の田中、佐藤さんには申し訳ないのだが、できればあまり見かけない苗字が良いと思っている。
見出しとして、「苗字を獲得するために、日本人と結婚したい」と書いたが、実際は「素敵な苗字を獲得するために、素敵な苗字の日本人と結婚したい」なのだ。
実際見かけた珍しい苗字達
➀ 盆子原(ぼんこはら)
大学時代、めちゃくちゃ剣道が強い主将の先輩の苗字だった。名前からその強さが伝わる。
② 小夏 (こなつ)
大学時代、めちゃくちゃ剣道の強い女子主将の先輩の苗字だった。なんと、苗字由来ネットによると全国に270人しかいないらしい。この苗字を守るためにも、日本の選択的夫婦別姓を早く進めるべきである。
③繁在家(はんざいけ)
吉祥寺のロクシタンの店員さんの名前。名札を見た瞬間大興奮した私が、珍しい苗字ですね!!と声かけると、またかーって感じの呆れた顔をされたのを覚えている。
④十楽寺(じゅうらくじ)
パン屋でバイトしていた頃の、パートの主婦さん。とても可愛らしく大人しい方で、現在は旦那さんの苗字に変えて、斎藤さんになってしまったが、旧姓を聞くと、とても恥ずかしがりながら言ってくれた苗字がなんと「十楽寺」だったのだ。
今のところ、最も可能性の高い苗字・・・「横山」
現在3年ほどお付き合いしている彼氏の苗字は「横山」である。正直、普通だと思っている。しかし、3年間、偽名として横山を使い続けていたら、何だかんだいって愛情が湧いてきて、横山以外の苗字の自分に違和感を覚えてしまうのだ。いつかは、李○○として生きた人生より、横山○○として生きた人生が長くなる日もくるだろう。その日になると、私にとって李という苗字は敬遠な存在になってしまうのではないか、と時々思う私であった。
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