つぶやきの波に押し流されてしまう前に


フォロワーさんのデビュー作『ブラザース・ブラジャー』前半部を読み終わったので7/31に感想をつぶやいたんですが、初めて読んだ時の感想を1つにまとめたくなったので、まとめます。主人公は両親の再婚により弟ができた高校生。その弟が、「おしゃれとして」女性用下着を着けているのを知って…から始まる物語。

「男なのに」と最初、主人公は戸惑います。でも、すぐに「いいじゃん!」と受け入れて、弟に自分用のアドバイスをもらったりして。物分かりのよい理解・受容の態度。良い人であろうとする主人公。

でもある話題について、友人から『私には分からないと思って黙らないでよ!はっきり言いなよ!』と指摘された中で、ふと、自分は周囲に対して無意識に「傷つけないから、傷つけないで」と思っていたことに気がつきます。理解したつもり、分かったつもり、受け入れたつもり…。

「理解も共感も半端にはできないよ」と心のうちをさらけ出して、弟とぶつかって、でも、いい人であろうとしていた自分に自覚的になった時…希望が見えた。

多様性とか、他者理解とか、受け入れることとは、とか、名前のつかない関係性とか、そういう言葉にピンときたら、ぜひ読んで欲しい。

8/21 後編『ブラザーズブルー』読了。
まず「なだれてくる春」という表現に、あぁ!と圧倒された。(語彙力…)
超個人的な話で恐縮なんだけども…p182、p194が今の私にとって、ものすごく刺さるんだなこれが…。大切な人にこそ全力で読ませたい文章…。

ちぐさ、分かるよ…!そういう「ぽいっ、としまえる箱」がない存在には、「そうあって」欲しいよね…!と肩を叩きたいような、でも、私がちぐさの友人だとしたら、きっと身の内で静かに同意するだけで本当には肩を叩けないんだろうな…。

だって青春だから…!(訳:大切な人には自分を大切にして欲しいと、簡潔に言ってしまえばそうなんだけど、それを口に出したらなんだか陳腐になってしまいそう、という)

私はこの今の感情を、できる限り文字に押しとどめようとするのだけれど、たぶんそれをするには、圧倒的に何かが足りなくて…(ToT)とりあえず私はどこからどう見ても、どう足掻いても『物語に自己投影型』なんだなと、スペースの話を聞きながら痛感。(それにしても著者に今読みましたと言えるの、なんてミラクル…)


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