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適応障害で休職して2週間の記念日に1人でカラオケと焼肉に行った話

「あんたが生まれた日は、大阪では珍しく雪が降った日でね」

実家にいたころ、母は私の誕生日になると毎年この話をした。最後に聞いたのは大学生のときだったかな。

今朝、窓を開けてたくさんの建物の屋根が雪で真っ白になっているのを見て、そんなことを思い出した。当時は「何年前の話だよ」とうっとおしく思っていたけれど、30代も折り返しに入った今なら少しは分かる気がする。子供が生まれることが、どれほど特別なことか。まあ私は子供おらんけど。

そんなわけで今日は誕生日だ。
そして、適応障害で会社を休職してからちょうど2週間という記念日(?)でもある。

適応障害とは
強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの"こころの不調"が現れる病気です。(中略)
特徴は、ストレスとなる出来事が明らかなことです。

NHK健康ch

数年前に深田恭子さんが適応障害であることを公表したから、覚えている人も多いんじゃないだろうか。

私の場合、ストレスの原因は完全に仕事だ。
仕事中は手が震えたり動悸がしたりすることがあったが、休職してからは起きていない。割と穏やかに生活している。

そんな休職中の身であるにもかかわらず、1月からライティングスクールに通っている。今日はその課題をやるためにファミレスに行った。誕生日なのに偉すぎる。
しかし後から隣の席に座ったおじさん2人組が最悪だった。声が大きくて、イヤホンをして音楽を流していても聞こえてくる。

おまけに特大のゲップをしやがる。(食事中の方がいらしたらごめんなさい)
思わずにらみつけそうになるのをこらえ、心の中で叫ぶ。

「おいオッサン!!!!やめろ!!わたし今日誕生日なんですけど!!」(知らんがな)

さっさと出て行ってくれることを期待したが、テーブルの上が空いたグラスで埋め尽くされるくらいにドリンクバーの元を取っても、おじさん達はまだしゃべっている。
観念して私が先に店を出ることにした。まだ全然課題終わってないのに。

家に帰ろうかと思ったがとにかく気分が悪い。どうにかしてこの不快感を発散したい。だって誕生日だし。

その足でカラオケに行った。
ひとりカラオケは私の鉄板のストレス解消法だ。お決まりのセットリストを消化してあっという間に1時間がたち、店を後にした。

が、

まだ歌い足りない……!!!

よほどおじさんのゲップにダメージを受けていたらしい。ビッグエコーからのカラオケ館という、謎のハシゴをしてしまった。

しかしいつもの曲はさっき大体歌った。
リモコンの「年代別で探す」をタップして2000年のランキングを見てみる。

1位:TSUNAMI/サザンオールスターズ
2位:桜坂/福山雅治
3位:SEASONS/浜崎あゆみ

な、なつかし〜〜〜!!!

ってかTSUNAMIって2000年?ってことは24年前??

は???体感10年前なんですけど?????

まじか。24年前ってなんだよ。っていうか24年前すでに物心ついてたのかよ。そりゃもうオバさんになるわけだよな…

だいぶショックを受けつつも、1年につき1曲ずつセレクトして歌うことにした。

2000年:ナンダカンダ/藤井隆
2001年:天体観測/BUMP OF CHICKEN
2002年:桃色片想い/松浦亜弥

いや〜〜懐かしい。中学生のときバンプめっちゃ聞いてたなー。
(世代じゃない人、置いてけぼりにしてすみませんね。懐メロの話はもうすぐ終わります。)

古い方が楽しくて90年代も歌ってみた。

1999年:あの紙ヒコーキくもり空わって/19
1998年:Timing/ブラックビスケッツ

ジューク!ミツル!326と書いてミツル!!小学生の頃ポストカードとか買ってたなあ…

去年の紅白にブラビ出たの、めっちゃテンション上がったなあ…

思い出に浸りながら1時間、1人懐メロ大会を存分に楽しんだ。さすがに喉痛い。
最後は焼き肉とビールで締めるか。だって誕生日だし。

すぐ近くに、カウンター席があるチェーンの焼肉屋があったのでそこに入った。

ビールをひと口飲み、B5サイズくらいの小さな1人用の網に肉を4枚乗せる。ジュージューと美味しそうな音を立て、肉から脂が落ちる度にボオッと上がる炎を見つめる。休職期間が終わった後どうしようかと、ぼんやり考える。

猶予はあと1ヶ月だ。

周りの人たちは、昨日も今日も、明日も働いているはずだ。それだけじゃない。本業をしながら副業で自分が本当にやりたいことを少しずつカタチにしている人もいる。

もしくは、お金にはなっていなくてもSNSの発信を続けてフォロワーが数百人になった知り合いもいる。
友達は2歳の子供を育てながらコンサル会社でマネージャーをしている。凄すぎてもはやバケモンかと思う。

みんな努力している。成果が出ている。
なのに私は?

医師からは、「自分の好きな場所、気分が落ち着く場所に行ってリフレッシュしてください」と言われた。休職とはそういうものらしい。
でもそんな場所、全然思いつかない。何の気力も湧いてこない。そもそも寒いから外に出るのが億劫だし、寝癖のついた髪を整えるのもメイクするのもめんどくさい。
ようやく重い腰を上げて出かけたら特大ゲップおじさんに遭遇した。やってられん。

唯一、ライティングスクールだけは楽しい。自分が本当に学びたいことが学べるから。課題にもできる限り全力で取り組んでいる。

でも1日頑張ると、次の日は電池切れみたいに動けなくなる。やっぱりまだ本調子ではないんだなと実感してしまう。

「いやいやカラオケ行って焼き肉食べてんだから元気じゃん。何言ってんの?」と思う人もいるかもしれない。っていうか私もそう思う。でもなんか、うまく言えないけど、充電が切れるのは一瞬なのに、チャージするのはすごく時間がかかるっていうか。電池が切れて、充電して、またすぐ切れて。これの繰り返し。

頭の中で2人の自分が言い合う。

「みんなは頑張っているのに、私は何もしていない。そんなんだからダメなんだよ」

「いや、今は休むのが最優先。元気になったら頑張ればいいよ」

決着はつかないまま、焼肉をたいらげてしまった。

ふと、さっき歌ったブラックビスケッツのTimingの歌詞を思い出した。

ズレた間(ま)の悪さも
それも君の"タイミング"

ヘンにね合わせ過ぎても
たぶん辛いだけさ

きっとちょっと、間が悪かっただけ。
自分のタイミングが、きっとやってくる。

来年の誕生日は元気なはずだ。今はそれを信じる。

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Sato
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