変身
目が覚めると、虫になっていた。
っていうのは嘘です。今日も人間でした。
プライドは高いくせに自己肯定感は低いという厄介な性質を備えた私は、今の自分が心底嫌で頭を抱えている。というのも、最近「らしくないなあ」と思わされる機会が多くて、その変化を受け入れられずにいるからだ。
頑固なところは自分の短所でもあり長所でもあると思っていた。確信をもって始めたことはそう簡単に諦めないし、マジョリティの意見に流されることも少ないほうだ。芯がしっかりしているところが唯一の長所といっても過言ではないと自負していた。
ところが最近の私ときたら意志がブレにブレまくっている。僅かな刺激でパキッと逝ってしまうカバーガラスのごとく、極めて薄い意志に翻弄されている。
自分なりの哲学というか美学というか、最適解であったはずのものを感情が否定する。だから言動も行動も二転三転する。朝に思っていたことと正反対の言葉が口をついて出る。そんな具合に。
そして冷静になると自己嫌悪の波に呑まれる。
私は新年の抱負とか今月の目標とか、そういうものは滅多に持たない。基本どうでもよくて。ただ、「何年の何月にはこうなっているべき」という雑なマイルストーンは常に抱えている。2024年のうちに片付けたいこと、いくつ達成したっけ。環境を変えようと強く意識しながらも重い腰が上がらず、転職も引越しも叶わず、かといって自分に甘くしたぶん体調が良くなったわけでもなく。
去年とまったく同じ状態のまま、ぼんやり過ごす日々。できなかったことの重みだけが積もっていく。私を置いて時間だけが過ぎる。
停滞した自分
楽な道を選ぶ自分
一貫性に欠ける自分
感情に振り回される自分
似たくない人に似ていく自分
それらの変化に苦しむ弱い自分
昨夜はいつにも増して寝つきが悪かった。開き直って爆音でランダムに曲を流していた。
Creepy Nutsの『のびしろ』。序盤の歌詞は知っていたが、フルで聴くのは初めてだった。曲の好みは詞よりメロディーで決まる私だが、今回は最後まで歌詞を追ってみることにした。
窓から入ってくる空気が涼しくて心地よかったからだろうか。全身から毒が抜けていく感じがした。強張っていた体に酸素が廻り始める、そんな不思議な感覚。40分くらいリピートした。
長くなりすぎるので、この記事で歌詞の好きなところを羅列することはしない。
感想をひとつ述べるとすれば、嫌な変化も"のびしろ"だと肯定できた……かも。明日にはまた気が変わっているかもしれないけどね。
とりあえず昨夜は、「右手の東京タワー」になりたいと珍しく明るい気持ちになった。たとえ崩壊寸前でも片脚しかなくても。
矛盾まみれでも今の気持ちは嘘ではない。だから敢えて書いちゃう。
「俺らまだのびしろしかないわ!!!」