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詩 やっぱり、すき
きみが、ぼくのことを、七回もふった夜。
ぼくの口のなかは渇ききっていて
呼吸はおちついていて
自分の血が管を流れる音がはっきり聞こえた。
ぼくの一回のすきに、きみは七回も「すきじゃない」と返した。
ついに、「一生涯、愛することはない」とも言った。
それでもぼくらは同じ布団の上で隣り合って寝ていた。
今夜が最後になるかもしれない。
きみの寝息をあとで思い出せるように、めいっぱい耳をそばだてた。
きみと同じ布団で寝ている自分を貧しく感じて、床で寝てみたり、
荷物をまとめて、夜中のうちに出ていこうとしたりしてみた。
でも、床は硬かったし、夜の街は淋しそうだったから、
またきみと同じ布団にそうっと、しのびこんだ。
ふいにきみがぼくの方に寝返りをうって、ぼくの身体に腕をまわした。
なみだはでなかった。
でも、ぼくは顔をくしゃくしゃにして泣いたんだ。
やっぱり、ぼくは、きみのことがすき。
きみの気高さも、きみの言葉も、きみがいることもすきなんだ。