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千のプロローグ

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物語が始まりそうな予感…
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#音

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 ポールは自分で死のうと決めた。  きっかけは一滴の恐怖。ぽつん。  本当にぽつんという音がしたのだ。ぴちょんでも、どぼんでもない。より正確には「ぽ」と「つん」にほんの僅かな間があった。海に降り注ぐ雨音のなかから一滴分の音だけを取り出したときの音に似ている。街中に降り注ぐ雨音ではいけない。街の雨粒は海のそれよりも小さいし、街は広大で重厚な水面をもたない。海の雨音を長い時間かけてろ過して、ようやく滴り落ちてきた一滴の音。ぽつん。   ポールはタカシの訃報を聞いて、呆然と立ちつ