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千のプロローグ

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物語が始まりそうな予感…
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#自死

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詩 はじまり優しいお父さんとお母さんのもとに生まれて すくすく五体満足 先生と友だちと出会って ふつうに結婚して 子どもを何人か授かって ほっこり死ぬ この街では僕の命はどうやらうまくいきそうにない わかってる そんなこと誰よりもわかっているさ 一人で逝こうとすると きみは現実や勇気 神までをももちだして救いについて語りだす わかってる けれども、だからといってこの身体はやめない 僕はそんなきみを圧倒的に支持する 満ち足りているのに奪いあう 拾った愛のために自由を棄

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 タカシは自分で死のうと決めた。  ナオキの自死に立ち会ってからというもの、タカシの自死への決意は日に日に強くなっていった。今では決意は習慣へと昇華した。ベッドに入る前の歯磨きと同様に、自死もまた習慣のサイクルの一部となっている。ただ、実行に移せないのには理由があった。タイミングが合わないのだという。  例えば、歯磨きは食後や就寝前という前動作がトリガーとなって引き起こされる。歯磨きに至る流れというものがあるように、自死に至る流れもまたあるのだ。けれども、タカシは流れをつか