
『ずっと、添えてきた色は』
過去と地続きの現実のなかで
淡々と
日々を塗り替えていくなかで
何度も
絵の具をおとしてきた場所に
触れる
かさねつづけて盛り上がった
それは
まるで瘡蓋のよう、幼い頃に
転んで
泣いて帰ったあの日のことは
今では
思い出すこともないのだけど
確かに
あの日もわたしは色を添えた
いつも
塗りかさねてきたその場所に
ずっと
奥のほうに層をなす色たちの
記憶を
呼び起こせばそこに虹、昏く
夢から
祝福のうちに目覚めたときも
全てが
指の隙間から零れ落ちた日も
絶えず
かさねた七色、いつしか光は
ここに
届かなくなった、苦しかった
いずれ
失われる、とおく忘却の彼方
それが
生きることの定めだとしても
もしも
剥がしてみたら、その瘡蓋を
そこに
光は射すだろうか、ふたたび
痛みに
耐えて晒した七色、胸の奥の
高くて
抜けるような空、群青を背に
悠然と
弧を描く、広くて大きな環に
いつか
出会えるだろうか、夢を見た
日々の
欠片、空をまたぐ七色に散り
やがて
ときの流れに色褪せるとして
たとえ
黄昏のうちに消えゆくとして
こころ
揺れることはない、わたしは
なぜなら
もう、知っている
虹は
いつでもそこに
ある、
今日もこれからも
そこに
色を、おとして
日々を、かさねて
夢を見た
日々の欠片を
かさねて、
『ずっと、添えてきた色は』
◇
今年はじめてのポエム、やっと形になりました。
こうして言葉を綴っていくことを、今年もつづけていきます。
お付き合い頂けたら、うれしく思います。
それでは。
おやすみなさい。
いいなと思ったら応援しよう!
