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『浮かんでは、消えて』 #ポエムのある暮らし
グラスのなかに
浮かんでは消える、泡を
ずっと、眺めている
泡が
浮かんでは消え、浮かんでは消え
それはまるで
夢や
思いや
魂や
こころが
抜けていくようで、
グラスの底から
ぷかりと、
浮かんではその身体を震わせて、のぼり
ぱち、と
はじけて、消えていく
目を閉じても
夢は
思いは
魂は
こころは
はじけて、
宙に
漂い、消える
*
グラスのなかに
浮かんでは消える、泡を
ずっと、眺めている
泡が
浮かんでは消え、浮かんでは消え
それはまるで
夢や
思いや
魂や
こころが
生まれていくようで、
グラスの底から
ぷかりと、
浮かんではその身体を震わせて、のぼり
ぱち、と
はじけて、生まれていく 目を閉じて、音を聞く、
夢が
思いが
魂が
こころが、
はじけて、宙に 漂う
グラスの底から
際限なく、湧き上がるものは
『浮かんでは、消えて』
このマガジンに収録するnoteは前半がポエム、後半にお酒や写真を話題にした文章やエッセイとなっています。
詳細はこちらのnoteをご覧ください。
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◇
炭酸入りのお酒がはいったグラスを、ぼーっと眺めているのが好き。
泡が、ポコ、ポコ...と立ちのぼっては、消えていく。それがいくつも、いくつも、ずっと。
炭酸のつよさがウリのものよりは、しっとり柔らかく、きめ細かに泡がたつほうがいい。グラスにつぎたてのものよりも、ちょっと落ち着いたあとのほうが。シャンパンとか、上品なソーダで伸ばしたカクテルとか。薄暗い場所で照明にあたり、液体と泡がきらりと輝く。そんな泡を見るともなく見ながら、考える。
この泡には何がつまっているのかなあ、と。
あの頃なりたかった自分が、潰えた夢が。
後悔しているひと言が、戻れない過去が。
まだあきらめていない何かが。
ふらふら、と立ちのぼって、
消える。
そう、思うのか。
これからやってくるはずの、
希望や、感動や、
久しく思いだすことのなかった感情が、
グラスのなかからあふれて、はじけて、漂う。
場を、こころを、満たす。
そう思うのか。
ああ、それはガスなんだよと、そうだよね、おいしいね、と。
それで話や思考が終わるようならそれでもいい。
それでもいい、けれど。
目のまえの1杯にそんなストーリーを描いてみたら、そこにまたちがった味わいが生まれるはず。
その泡のなかに、希望を見るか、後悔を見るか。
未来を見るか、過去を見るか。
どちらが正しいとか、そんなことではなくて。
ただ、グラスに立ちのぼる泡を眺めて。
何かに浸る時間があっても、いいんじゃないかと思うのです。
そんなふうに。
今日も、カンパイ。
◇
◇
◇
ここから、マガジンの後半部分にはいります!
今日のテーマは、かんたんおうちカクテル第2弾。
ポエムの空気にあわせて、すっきり炭酸系を選びました。
今回ご紹介するのは、こちらです。
Gin Fizz(ジンフィズ)!!
湿気のつよいこの時期は、これがおいしいんです。すっきりしつつもドライすぎず、しっかりアルコールがはいるので飲みごたえがある。炭酸が強すぎないので味わいがぼやけずシャープに感じられ、しっとり汗をかいた身体に染みわたるようなカクテルです。
レシピはこんな感じ。
バーのレシピ:
ドライジン(※1) 45ml
フレッシュレモンジュース 20ml
砂糖 1tsp.(※2)
ソーダ 適量
ソーダ以外の材料をシェイクし、タンブラーに注ぐ。氷を入れ、ソーダで満たす。
(※部分は最後に解説を入れます)
なんだか難しそうな気がしませんか?後述しますが、実際難しいんですこのカクテル。
でも今回は、それをこんなにかんたんにしてしまいます!
だいすーけ的かんたんおうちレシピ:
ドライジン 45ml
レモンジュース 20ml
ガムシロップ 2.5ml
ソーダ 適量
ソーダ以外の材料をグラスに入れて、スプーンでよくかき混ぜる。ソーダで満たし、軽くかき混ぜる。
はい。
ふつうおうちにシェイカーなんてないから全部ビルド(直接グラスにつくるという意味)でつくります。
ミリリットル、ちょっとわかりづらいですが、15mlが大さじ1杯、5mlが小さじ1杯です。
まず、ジンとレモンジュースとシロップをグラスに入れます(写真は混ぜる用としてメモリ付きグラスを別に用意しています)。
色がないのでわかりづらいですが、シロップが重いのでスプーンでしっかり混ぜてください。これけっこう混ざりづらいです!
混ぜたら氷を入れてもう一回混ぜます。今度は馴染ませる程度でOK。
氷を適度に補充して、ソーダで割ります。
ここでポイント!
ソーダの分量は、割る前の材料の合計の量と同じくらい。
だから、ジン45ml+レモンジュース20ml+ガムシロップ2.5ml=ソーダは約70ml。
もちろんお好みですが、ソーダが多すぎるとおいしくないんです。
一応分量は書きましたが、いちいち量らなくていいです。ソーダで割る前にグラスにはいっている分量と、同じくらいだけソーダを入れればいい。
さあ、割ります。
しゅわしゅわ...(この音、よぉ~く聴いておいてください)
割ったらスプーンでかるーく混ぜて、出来上がりです(もしレモンがあったらスライスにして飾ってあげると気分あがります)!
以上、だいすーけ的かんたんおうちカクテル、今回はジンフィズをご紹介しました。
今回つかった材料は、以下のとおり。
ジンにもいろんな種類がありますが、柔らかくて使いやすいのはビーフィーター。ボンベイサファイア、タンカレー、ゴードンなどほかにも人気のジンがありますが、スタンダードどころの中ではこれが一番安くてつかい勝手がいい気がします。200mlのベビーボトルはコンビニにもあるかも。
エトナのは250mlのものがあるんですが、Amazonになかったので600mlのものを載せました。ほか明治屋、ポッカ、サントリーなど、どれでもいいと思います。
レシピにはガムシロップと書いていますが、もしこれが買えるならこれがいいです。サトウキビ100%使用の天然シロップ、これはバーの必需品。酸味の角をとるのに最適。これをつかう場合、上記レシピで2.5mlとしたシロップの分量は5mlで大丈夫です。甘さが上品だから。
何でもOK。うちはAmazonでウィルキンソンをケース買いしています。
今回1杯にかかったコストは...
ビーフィータージン 66円(45ml)
レモンジュース 20円(20ml)
カリブシロップ 8円(5ml)
ソーダ 9円(70ml)
合計103円でした!
これだと1杯が140mlくらいになるので、もうすこしコンパクトにつくったら100円切りますね。
まとめ!
ぜひつくってみてくださいね!
◇
ここで、ジンフィズにまつわるちょっとした小話を。
ジンフィズは、バーテンダーにとって永遠の課題とも言うべきカクテルなんです。
ご存じの方もいらっしゃるでしょうか。
ジンフィズというカクテル、じつはこれ、カクテルをおいしくつくるのに必要な要素が全部はいった非常に難しいカクテルなんです。お習字で言うところの「永」の字みたいなものかな。とめ、はね、はらい、とか。必要な技術が全部そこに込められている文字。
もう一度バーのレシピを書いておきます。
ドライジン 45ml
レモンジュース 20ml
砂糖 1tsp.
ソーダ 適量
ソーダ以外の材料をシェイクし、タンブラーに注ぐ。氷を入れ、ソーダで満たす。
先ほど書いた、カクテルをおいしくつくるのに必要な要素。基本とも言いますが...。
これのことです。
・適切な分量で計量する
・シェイクできっちり材料を冷やし混ぜる
・適切な氷を選ぶ
・適切な量のソーダで割る
・炭酸を飛ばさないように混ぜる
これがすべて、はいっている。
だから、初対面のお客さんにいきなり「ジンフィズください」なんて言われると、「ヒィッ!」って思ってしまったりする。これは、そんなカクテルなんです。もちろん飲みたいからオーダーしてもらう、それでいいんです。でも、ぼくはちょっとビビる。笑
そんなカクテルを、おうちでかんたんレシピ!とか言ってご紹介しているわけなんですけどね。大丈夫かな。でもきっとこれで、だれでもおいしくつくれます。つくってみて飲んでみて、後日もしバーに行く機会があったらオーダーしてみてください。プロの技のすごさも、わかると思いますよ。
「Fizz(フィズ)」ってなあに?
カクテルづくりの工程のところで、ぼくはこう書きました。
しゅわしゅわ...(この音、よぉ~く聴いておいてください)
これ、どんなふうに聴こえましたか?
しゅわしゅわ、しゅうぅ...、コポコポ?パチパチ?
...なんと。
これが、フィズという名前の由来。
ソーダがはじける音は、しゅわしゅわでも何でもないんです。
fizzfizzfizzfizz...
ねぇ、聴こえましたかそんなふうに。
そう、
Fizzとは、ソーダがはじける音のこと。
「Fizz(フィズ)」ってほかに何があるの?
はい、とてもいい質問です。
これ、おうちカクテルライフを過ごすうえで非常に役に立つので覚えておいてください!
前回の「ウイスキーバック」もそうだったのですが、「フィズ」も飲み方のひとつのスタイルです。スピリッツ(※3)とレモンジュースとシロップを混ぜ、ソーダで割ったもの、ということ(スピリッツのかわりにカンパリとカルピスをつかった前回のプレリュードフィズがちょっと例外でした)。
だから、たとえばおうちにジンがないからフィズができない!なんてことはないんです。ウォッカがあれば、ウォッカでつくってください。おいしいですよ、ウォッカフィズ。上品なレモンサワーみたいな感じです。ラムだったらラムフィズ。テキーラならテキーラフィズ。ウイスキーでもブランデーでもつくれます!
おうちにあるもので、つくってみてくださいね。
ちなみに前回の「Buck(バック)」は、スピリッツをジンジャーエルで割り、レモンかライムを絞り入れたものです。こちらもなんでもだいたいおいしい。
シロップを入れる理由
ジンフィズみたいなすっきり系のロングカクテル(※4)にどうしてシロップがはいるんだろう、そう思いませんか?実際ジンフィズを飲んでみても、とくに甘さは感じません。
シロップをカクテルにつかう理由は、酸味との調和のためなんです。
基本的には甘みをつけようとして入れているわけではない(そういう場合もあります)。シロップを入れて、レモンやライムの酸味を丸くしてあげる、バランスをとってあげる。シロップは、そんな意味あいでつかいます。
お酒+甘味+酸味=おいしい!
これが、すべてのカクテルの基本になるんですよね。
【番外編!玄人向けコーナー】ジン好きにおすすめのジン
きのうtwitterで、「クラフト(※5)ジンが好き!」という投稿を見ました。「今度おすすめご紹介しますね!」って返したんですけど、ここに書いておけばいいんだと思って。
クラフトっていうか、スタンダードどころ以外でおいしいと思ったものをいくつかご紹介しておきますね。
あ、これらはそのまま飲んだりロックで飲んだりジントニックやジンリッキー(これはまたの機会に)にしたりがおすすめ。あまり手のこんだカクテルにはつかいません。もちろんつかってもいいけど。
魂!!!
って書いてありますが、ベルギーのジンです。柑橘系のニュアンスがつよく、グレープフルーツカットを入れたジントニックとか、とってもおすすめ。名前のわりにさわやかでライトボディです。
クラフト...って言っていいのかな、わりと昔からあるジン。
アルコール度数57度の超フルボディで、飲みごたえたっぷり。ぼくは常温のものをショットグラスで飲むのが好きです。
緑色で47度のものもあります。
10倍ジュニパーって、要はジン特有のテイストを突き詰めましたってことです。これでもかと押し寄せるジュニパーの香り、ジン好きにはたまらない一本!
どれもちょっとお値段いいのですが...バーなどで見つけたらぜひ!
おわりに
今回で全文無料掲載はさいごになりました。1か月の無料公開、いかがでしたか?それぞれのポエムも後半の内容も、気合を入れて書いたつもりです。よかったら感想やご指摘をいただけるとありがたいです。
来週はもう8月。次回の更新からは、ポエム以外は購読していただいている方のみご覧いただくことが可能になります。
今月は告知note含め5つのnoteをマガジンに更新しました。それらはいつでも無料でお読みいただけますので、ご覧いただけたら嬉しく思います。
ここで得た収益は、ほかの有料マガジンを購読したり、ここで書く内容をよりブラッシュアップさせるためにつかわせていただきます。自分に投資して、読んでいただける皆さんに還元することが目標。
もしぼくのつくるポエムを気に入っていただいて、お酒に関する話やポエムの創作にまつわる話に興味をお持ちの方がいらっしゃいましたら、ぜひ購読を検討していただければありがたく思います。
これからもこころを込めて書きますので、どうぞよろしくお願いします!
さて、次回ですが。
きっとみなさん一度は経験があるんじゃないでしょうか...ワイン、開けてみたはいいものの飲み切れず、結局ダメにしてしまったり、捨ててしまったりしたこと。
次回はそんな、4日目くらいまででしょうか、開封済みワインをカクテルにしておいしく飲む方法。
赤ワインをつかったカクテルをふたつご紹介する予定です。もちろん白でも応用ききます。
ぜひ、楽しみにしていてください。
それでは今回は、このへんで失礼します。
先週につづき6,000字、さいごまでお付き合いいただきありがとうございました。
(この下に注釈があるのでもうすこしスクロールしてくださいね!)
※1:「ドライジン」とあえて書いていますが、それはドライではない(=甘い)ジンがたまーにあるからです。基本だいたいドライジンですが、もし買おうとしているジンに「オールドトム(OLD TOM)」と書いてあったらそれは甘いので、ジンフィズの場合は別のものがいいと思います。不安なときは、お店の人に要確認!
※2:よくバーのレシピで「tsp.」というのが出てくるのですが、これは「ティースプーン」の略。1tsp.は5ml。
※3:「スピリッツ」とは、「蒸留酒」のこと(蒸留酒と醸造酒の違いはまたいずれ)。身近なものだとウイスキー、ブランデー、ジン、ウォッカ、ラム、テキーラ、焼酎あたりです。ビールや日本酒が「醸造酒」、カンパリとかカシスとかは「リキュール」と呼ばれます。
※4:「ロングカクテル」は、時間をかけて飲んでもおいしいカクテルのこと。「ロング(タイム)カクテル」です。基本的に氷がはいっていて、量が多め。ジンフィズとか、ソルティドッグとか。逆に、脚付きのちいさなグラスのカクテルを「ショートカクテル」と呼びます。ショートは氷がはいっておらず、量もすくなめでアルコール度数が強い。これはぬるくなるのが早いのでできればサッと飲んでね、ということです。「ショート(タイム)カクテル」。マティーニとか、マルガリータとか。
※5:「クラフト(craft)」、最近流行っているワードです。クラフトビール、クラフトバーボンとか。意味あいとしては「少量生産で、つくりにこだわっています」くらいのニュアンスで、とくに定義はありません。
※ここにご紹介した商品、いずれのメーカーとも個人的にはまったく関係ありません。これがいいと思ったものを掲載しています
※お酒は楽しく適量を。20歳未満は飲んではいけません(←いちおう書いておきます)
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