ほろ酔いで歩いていたら様子のおかしな犬がたくさん寄ってきた
会社の近くの暗いパスタ屋さんでひとりでお酒をじゃぶじゃぶ飲んだ帰り道、最寄り駅から家まで歩いていた。ほろ酔いでらりらりふらふら、かなり愉快な気持ちだった。この前友達におすすめされた本がポストに届いているはずだから、ベッドで読みながらもうちょっとワイン飲んで寝ようかな〜髪の毛を乾かしてほしい人を急に家に召喚できたらいいのにな〜とか考えていた。
家までの近道の階段を降りていると、階段の下に難しい顔をしたクリームと黒の色のパグがいた。お尻を地面にべったりつけて足を投げ出して、「ここを動きませんよ」という姿勢をとっていた。そうだよね、夜のお散歩は楽しいもんね、帰りたくないよねと思って、お顔を見ると、はっきりと私を見ていた。あら、と思いながら階段を降りきって、パグを傍目に進もうとしたら、重たそうな腰を上げてフゴフゴいいながら着いてきた。待っていてくれたの?
飼い主のお姉さんは「あら〜すみません〜」という顔をしていた。
その時、北の方角から瞳がピカピカのクリーム色のチワワが回りながら近づいてきた。回りながら、というのは、その場で跳ね上がって一回転のスピンをして同じ場所に着地するタイプの回転だ。犬同士パグが気になるのかなと思っていたら、チワワも私をめがけていた。スピンしながら顔はずっと私を見ていた(バレエのターンのようなイメージ)。
飼い主のお兄さんは「あら〜すみません〜」という顔をしていた。
そしてさらに、南の方角から黒色の小さいトイプードルがびょんびょん上方向に跳ねつつ走ってきた。前に進むよりも、上に跳ねる方に断然力を使っているように見えた。犬って跳ねるんだったよな、と思っていると、トイプードルも私に向かって来た。
飼い主のおじさんは「あら〜すみません〜」という顔をしていた。
3匹の犬の挟み撃ちだ。こんなに犬が寄ってきてくれることがこれまであっただろうか。私は急に人気者の気持ちになって、「みんな今日は来てくれてありがとう〜愛してるぜ〜」と全部の犬に熱い視線を送って家路についた。
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