たぶん人類で一番頑丈で愉快で賢い同居人 好きなひとたち④
いま、小森さんという人と同じ家で暮らしている。たぶんこの人は人類で一番頑丈だと思う。そして愉快で賢い。
体だけではなくて心も頑丈で、ちょっと怖いくらいずーっとご機嫌だ。ちょっとというかかなり怖い。すごく怖い。人ってこんなに24時間ご機嫌でいられるものだろうか。
起きた瞬間から歌を歌って、仕事が楽しいからといそいそと会社に行くし、休日の予定がある日もない日もワクワクと過ごし、布団に入ったら2秒で眠る。体が相当つらいはずの長期出張のあとも、家に帰ってこられた喜びで踊ったりしている。
機嫌が悪いところなんて見たことがない。そんな人は小森さんのほかにはハンニバルのレクター博士くらいしか知らない。
小森さんの全部を知りたいけど、絶対把握できない
私は小森さんがとんでもなく好きなので、小森さんの全部が知りたい。自分の心が動いたことがあったら、全部話して小森さんの考えを聞かせてほしい。小森さんとの会話が趣味と言ってもいいと思う。
残念ながら、小森さんの趣味は私との会話ではなく釣りや狩猟なので、余力があるときしか応じてくれない。でも、余力さえあれば、沢山考えて言葉を尽くして説明してくれる。その考えや答えは私ではたどり着かないものであり、救われたり、物事を整理できたり、反省を促されたり、他人というものの可能性を認識できたりする。いつもハッとさせられる。目から鱗が落ちる、落ちる。この人なんなんだろう、と常々思う。
私の能力では小森さんの美しいところや輝くところを全部把握することはできない。暮らすことや話すことでその大きく壮大な全体像のほんの一面をたまたまとらえているに過ぎない。だから、いつまでたってもハッとするのだと思う。
ベリーナイス人間:小森
小森さんといると、世の中が生きやすくなったと錯覚してしまう。
普段はお互い出張で月に数日しか顔を見ないような生活をしている。そんな中で、お互いコロナに罹って2週間程度家で過ごしたことがあった。家にはテレビもないし、スマホもあまり触らなかったので、精神的にもずっとふたりきりだった。
会話の中でひっかかることがなくて、他者との関わりから来る疲弊を感じなかった。なあんだ世界は生きやすいんだ、受け入れがたい考え方も、決めつけによるもやもやも、なんかやなこと全部この世からなくなったんだ、よかったよかった、と思い込んだあたりで回復して外に出たら、変わらない他人に溢れていてすごく疲れた。
小森さんの好きな発言たち
「今日の残りの6時間はこのソファの上で過ごす予定です」
「朝ピカピカで会社に行っても必ずきちんとボロボロになって帰ってきていいねえ」
「おうちのおふとんで眠れるのはしあわせ」
「いぬちゃんの自分勝手なところは全然好きじゃないな」
「刃牙の話をしてもいいですか?」
「いぬちゃんは暗い人が好きなんじゃなくて、暗い人に好かれるのが好きなんじゃない?」
「いま縦列駐車で忙しいから込み入った話はしないでください」
小森さんに似ているキャラクター
・アニメ映画「魔女の宅急便」のパン屋のおそのさんの夫(顔)
・映画・小説「ハンニバル」のレクター博士(ずっとご機嫌なところ)
・漫画「A子さんの恋人(近藤聡乃)」のヒロくん(目から鱗なところ)
・小説「ラビット病(山田詠美)」のロバちゃん(素直で優しくて大きいところ)
小森さんの素敵なところはこの文章ではほんの少ししか表現できていない。それが悔しいし、嬉しい。
同居人(小森さん)の死に怯えている話