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『ダイヤモンドの功罪』第1巻感想!

『このマンガがすごい!2024』のオトコ編で第1位を獲得した、平井大橋の『ダイヤモンドの功罪』(集英社)。

普段聴いているマンガのラジオ番組で取り上げられていたから、1位を獲得する前から気になっていた。マンガ好き界隈でも以前から注目されていたのだろう。

今回、第1巻を読んだ感想を書いていこうと思う。

内容に触れるから、まだ知りたくない人は読んでから見てもらえるとうれしい!

殺伐としてますねぇ……

“めちゃくちゃすごい才能を持っている子がその才能が原因で周りを変えてしまう”っていう軽い予備知識はあったものの、ここまで殺伐としているとは思ってなかった。

主人公の綾瀬川に感情移入してもつらいし、あまりの綾瀬川の才能に打ちひしがれたり変化していってしまうバンビーズのメンバーに感情移入してもつらい。

1巻目を読んだ限りでは「なんだこのしんどいマンガは……!」という感想だ。

印象に残ったセリフがある。綾瀬川のお母さんに野球も嫌いになっちゃった? と聞かれた後の「嫌いじゃない たぶんもう嫌いになれない でも うまくできない……」というセリフだ。

彼自身はめちゃくちゃ野球が上手い。教えられていない変化球も独学で投げてしまう。ただ、その上手さは技術的な上手さであり、ここで言うところのうまくできないはまた別の意味を持つ。

チームに溶け込めないとか、野球をする上での人間関係をふくめた“うまくできない”なのだ。そんな不器用な言葉を天才の綾瀬川が言うところがせつなくて、マンガの見せ方として上手いと思った。

こんなに恵まれた才能があるのに、うまくできないと苦悩する綾瀬川のやるせなさに胸が苦しい……。

あと、バンビーズの監督! こいつはなかなかひどいと思った。

監督は綾瀬川の才能に魅せられた一人だが、いくらもっと強くなれる環境に行かせた方がいいと思ったって、勝手に日本代表の選考に応募するのはエゴが過ぎる(しかも合格しちゃう)

加えて、イガの気持ちを引き合いに出して綾瀬川のせいみたいに言い出すのもたちが悪い。まぁ、選考会に行ったから物語が進んでいくわけなんだけど……。

バンビーズの監督やコーチが、まさに綾瀬川の才能に魅せられて狂ってしまった人たちなんだろう。綾瀬川というダイヤモンドの輝きにやられてしまったわけだ。

『ダイヤモンドの功罪』というタイトルが本当に秀逸だと思う。今のところ功罪の“罪”の部分しか見ていないけど、今後どうなるんだろう?

綾瀬川が幸せになるにはどうすればいいのか?

思ったより重めの作品で、読むのにちょっとカロリーがいる感じだ。だけどその分この先の展開が気になる。

綾瀬川が幸せになるには、同じくらいの才能を持つ仲間やライバルが出てくるしかないと思う。同じ孤高で生きる理解者の登場。案外2巻か3巻目くらいで出てきそう。

周りとレベルが違いすぎると馴染めないよねっていう天才がゆえの苦悩を、読んでいてちょっとつらくなるほどリアルに描いた作品だ。

そして、主人公だけでなく、主人公の才能によって狂ってしまう周囲の人々も描いているのが『ダイヤモンドの功罪』の面白さだと思う。

綾瀬川もチームのメンバーも悪くないんだよなぁ……監督も勝手なことしたけど、一応綾瀬川のことを考えての行動だし。しいていうならどれも“才能が原因”としか言いようがない。

純粋な綾瀬川がぐれちゃって犯罪とかに手を染める方向に進まないよう、願っている。

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