福井市 大安禅寺
一歩足を踏み入れると、和尚さんの生命エネルギーがお寺中に漲っているのを感じる。本堂を含む8棟の建物が国指定重要文化財となっており、2018年から2032年にかけて(14年の歳月!)大規模修理を実施中。
アクセス
アクセスは福井駅から車で20分。
公共交通機関でも行けないことはない。福井駅から京福バスが運行する路線バスがある。福井駅から越前海岸ブルーライン(10番、15番)もしくは、大安寺線(11番)だ。大安禅寺最寄りのバス停は「大安寺門前」。そこから大安禅寺までは歩いて20分、1kmの距離がある。
平日は1時間に一本、土日・祝だと1時間 or 2時間に一本くらいの割合でバスがある。
お寺さんで出来ること
個人拝観だと、ご本尊様お参りして、他に何もなければ5分で終わってしまう・・・。折角来たのだからもう少しお寺さんを味わいたい。大安禅寺さんで出来ることを挙げてみました。
写経は随時受付
坐禅会
毎月第2第4の金曜夜7時から坐禅会が行われています。
事前申込みが必要です。(下記リンクより)
その他にも、お寺さんが頻繁にイベントやワークショップを開催しておられます。是非、各SNS(下ご参照)などをご覧頂いて、タイミングを合わせてお参りされると、より大安禅寺さんに触れることができると思います。
大安禅寺さんお寺の入り口から奥に進めば、現在修理真っ最中の本堂が。
その様子も、見学台から間近で見ることができます。
境内散策
大安禅寺さんの見どころは、お寺だけじゃないんです。大安禅寺さんは山の中腹にありますが、更に15分ほど山の上に向かって歩くと、「千畳敷」という越前松平家のお墓があります。
写真を見て何か思いませんか?
墓石、でかくない?
墓石、青くない?
高さは3メートル。この「石」は、笏谷石(しゃくだにいし)と呼ばれ、福井市の足羽山(あすわやま)で採れる石材です。柔らかくて加工しやすいのが特徴で、濡れると青色になることから「越前青石」とも呼ばれています。1999年を最後に採掘は終了しており、新しい笏谷石が出回ることはありません。
この越前松平家の墓所がすごいのは、このドデカイ墓石もそうですが、その基礎、足元の敷石、周りをぐるっと囲む柵まで、すべて笏谷石でできています。
笏谷石の採掘場から、大安寺までの距離は7.6km。これ程の巨大・かつ大量の石を、舟で運びつ、人力で運びつ、、。すごい執念です。
千畳敷ももちろん見応えがあるのだが、個人的に推したいのは、その道中にある笠原白翁先生のお墓です。
笠原先生は、江戸時代末期の福井藩のお医者さん。
「天然痘」(てんねんとう)ー1980年にWHOが根絶宣言を出し、人類が撲滅した唯一の感染症と言われますが、古来から、伝染力が非常に強く、死に至る(致死率は20%-50%) 疫病として人々から恐れられていました。
江戸時代。笠原先生は蘭方医学に通じ、町医ながら、医業も私財も投げ打っての苦闘のすえ、種痘(天然痘ワクチン)を成功させた人物です。
当時、ワクチンの知識などまるで無い人々からは、理解も得られず、白い目で見られ、疫病神扱いされ、時には石を投げつけられながら、これこそが、より多くの人命を救う助けになると、ただ己を信じた笠原先生の努力によって、福井藩では天然痘の死亡率が大幅に減少し、全国的に種痘が普及するきっかけとなったのでした。
その笠原先生のお墓が大安禅寺にある。是非、道中で手を合わせていただきたいです。
笠原先生の生涯については、是非こちらの書籍を参考になさってください。
それと、もう1つ、個人的にこのお寺の雰囲気の底流に流れている、優しい空気感のようなものを感じます。それは、このお寺の開基さんによるんじゃないかと勝手に思っております。
ちなみに、お寺さんに行くと「開基」「開山」というワードが出てきますが、以下のような関係性です。
大安禅寺さんの場合、開基さんは第四代福井藩主の松平光通(みつみち)公
です。
新進気鋭で善政を敷いていた松平光通公。しかし、男子が生まれないことを苦にした妻が自ら命を断ってしまったり、側室との間にできた息子も出奔してしまったりと、精神的に蝕まれる日々が続く。加えて藩政もうまくいかない。
1674年(延宝2年)に、異母弟「松平昌親」(まつだいらまさちか)に家督を譲るよう遺言すると、松平光通は自死。39歳の若さでその生涯を閉じてしまいました。
なんだか、このエピソードを聞くだけで、光道公、優しい人だったんだろうなという感じがします。政治や家庭のことで心苦しんだ光道公が、そうした苦悩を少しの間、荷解きにくるような場所が大安禅寺だったんじゃないかなと思うのです。
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