俺が使っているM&A関連の実務書
M&A関連の実務書、と一口に言ってもどの領域についての本なのかであったり、初学者向けなのかガッツリ実務をやっている人向けなのかであったり等、書籍によってハマるユーザーが異なる傾向があると思っており、万人に勧められるものは無いと思っている。
そんな中で、FASで数年M&Aアドバイザリーの端くれとして働いてきた自分が使っている書籍を、自分自身の記録も兼ねてリストアップする。
色々買って、その中には本棚の肥やしになっているものや、もう手放したもの等あるが、購入以来ずっと手元に持ち続け、使い続けている書籍のみを厳選して紹介する。
そのようなものなので、あの書籍が無いじゃないか等とかいうツッコミもあるかもしれないものの、繰り返しになるが単に筆者がずっと使い続けている書籍という事でご理解いただければと思う。
初学者や自分と同じような立場の方は、数年FAをやってる人がどんな書籍を使っているか参考にしていただいたり、業界経験豊富な諸先輩方におかれては若造はこんな書籍を使い続けているんだな、とご笑覧いただければ幸いである。
全般
(※2024/7/5 第9版の最新版発売に伴いリンクを更新しました。)
M&Aアドバイザリーになったが、まず何を買って手元に持っておけば良いか分からないという方などにおすすめかと思う。
M&Aとは、という話からバリュエーション、法務、会計、税務、ストラクチャーまで幅広く網羅されているゼネラルな書籍で、使い勝手が良い。
特に組織再編に関する解説は辞書的に使用しており、個人的には充実しているように思っている。
バリュエーション
とりあえずこれを一冊持っておけば間違いないと思う。
実務の中でバリュエーションについて迷った際に開けば大体何かしらのヒントになるようなことが記載してあるし、そこから深堀して新たな学びになる事もしばしばである。ディールの企業価値評価ならこれがあれば他の書籍は最悪まあ無くて大丈夫な気もする。
企業価値評価の初心者であるならば、まずはこれを手元においてExcelのワークシートを組み上げるところから始めてみてはいかがだろうか。
財務・会計
(※2024/7/5 第25版の最新版発売に伴いリンクを更新しました。)
会計関連で分からない事があった際に参照している辞書的な一冊。
内容については財務会計で分からない事があればこれを開くと大体何かしらは書いてある、という感じで可もなく不可もなくといったレベル感である。
購入来ずっとこのシリーズなのだが、他に辞書的に使える本を自分が知らないだけなのかも知れない。
もしおすすめがあれば是非教えて頂けるとありがたい。
法務(契約書関連)
言わずもがな、NOTの名著である。契約回りの基礎的な知識をインプットするにはもってこい。自分も法務回りの書籍で最初に購入したのはこれだった。
今でも契約関連を見る際には参考にしており、手元に一冊は持っておきたいと思える。
説明が非常に分かりやすく、何より様々な条項の売手・買手それぞれのPros&Consが解説されているところが良書だと思う。
売手買手双方の立場から条項について考える事で何が交渉上のポイントなのかという事を自分の頭でも整理しやすいだろう。
なぜか自分の回りだと持ってる人を見かけないがあると便利だと思う。
会社法
会社法は論点が出てくるたびに原文や解説をググるのも結構だが、やはり手元に1冊は辞書的に使える実務書を置いておくべきだと思う。
個人的には解説が分かりやすく、こちらの一冊を愛用している。
なお、法改正があった際にはケチらずに新版を購入する事。
これはプロフェッショナルとして当たり前であるが、たまに数千円ケチりたいがために中古で購入したら旧版だった、という方もいるので注意されたい。
ファイナンス
言わずと知れた名著。発売されてから15年位経っている。
LBOモデルの教材も今や沢山あるが、自分が若手の頃は井上ひろさんのlivedoor Blogを見ながらM&Aファイナンスの本をにらみつつ勉強したものである(老害回顧厨)。
M&Aをやるならそのファイナンスについての理解も深める必要があると思っており、本書をまず一周読んで巻末のモデルを一度自分で組んでみる程度の事は最低限必要だろう。
我らが日本バイアウト研究所の編集。こちらは2018年発売なのでM&Aファイナンスよりも新しい。
本書はメザニンファイナンスについて割と詳細に解説がされており、活用頻度がそう多いわけではないが、Mezzが絡む案件で重宝している。