不惑の韓流女優シリーズ②「ぺ・ドゥナ~惹きつけられる直球の演技力~」
不惑の40歳を過ぎても、主役として、韓流をけん引する女優を語るシリーズです。韓流ファン歴が20年のわたしが、あくまで、個人の趣向で語りたい女優さんをシリーズ化しました。ですから、もちろん、偏りはありますので、悪しからず。
第2回は、ぺ・ドゥナです。1979年生まれの41歳です。
ぺ・ドゥナは、韓流女優のなかでも、演技力が高く評価されている女優です。韓国映画界の名だたる監督も、彼女を起用しています。
ポン・ジュノ監督作品で、「吠える犬は噛まない」「グエムルー漢江の怪物ー」でヒロインを務めています。
また、ポン・ジュノのライバルと言われるパク・チャヌク監督作品「復讐者に憐れみを」にも出演しています。
彼女の出演する作品は、大型娯楽作品ではなく、小スクリーンで上映されるような非主流の文芸・芸術作品ですが、映画賞で主演女優賞をいくつも受賞しています。このシリーズで紹介する女優さんの中では、ソン・イェジンと並んでトップクラスの受賞歴だと思います。
日本映画でも、山下淳弘監督の「リンダ リンダ リンダ」、是枝裕和監督の「空気人形」などに出演しています。
特に、是枝監督は、彼女の演技を絶賛しており、今年クランクイン予定の「ブローカー」にも出演が決まっています。
そんな名監督からのラブ・コールが絶えない彼女の魅力はどこにあるのでしょうか。もちろん、それは、演技力ですが、いわばストレートに見る者の心に響く直球の演技力ではないでしょうか。
表現力のないわたしには、うまく言えませんが、彼女の演じる登場人物のセリフは、胸に直接に響くのです。嘘のない、真実として。
ドラマ「秘密の森~深い闇の向こうに~」のなかで、ぺ・ドゥナが演じる刑事ハン・ヨジンが、「わたしの尊敬する漫画家である手塚治虫が、漫画でも、おちょくってはいけないものがあるそれは、基本的人権だ」という場面があるのですが、このシーンの彼女が発するセリフに、本当に痺れました。そして、感動しました。
このシーンは、淡々としたセリフ回しにかかわらず、でも、そのときの表情やしぐさから、伝えたい真実が見えるわけです。
シナリオを書く上で、よく、セリフは嘘をつくが、行動はごまかせないと言われますが、作者としては、セリフにだって真実を込めたいときがあるわけです。それを、こんなふうに表現できるところが魅力だと思います。
最近のぺ・ドゥナの演じる女性は、周囲に媚びずに自立した強い女性が多いのですが、表情演技を見せるために、あえてメイクはしないか、しても控えめに抑えているようです。スーパー美人ぞろいの韓流女優のなかでは、地味な印象でありますが、もともとは、モデル出身。ルイ・ヴィトンのミューズとしても、韓国人ではじめて世界発信されました。彼女を選ぶあたりが、やっぱりさすがルイ・ヴィトンですね。
そんなかっこいいぺ・ドゥナの美しさは、年齢を重ねてさらに輝いていくようで、現在は、コン・ユと新作ドラマ「静けさの海」を撮っていて、それが終わったら、今度は、カン・ドンウォンとソ・ガンホと、是枝監督の映画で、共演する予定ですから、これからますます活躍が楽しみな女優さんであります。
Netflixでは、ぺ・ドゥナのドラマはいくつも配信されていますが、一番オススメは、「秘密の森」で、シーズン2まで作られています。もはや、名優の域に達している主演俳優のチョ・スンウは、ぺ・ドゥナがでると聞いて出演を決めたと言っています。