見出し画像

子供たちとWatchMe、そして”以後”(完) 『ハーモニー』読解/伊藤計劃研究

   ( 前回 から続く)

 2つ目は零下堂キアン自殺後、霧慧トァンによる事件捜査のシーンだ。これは捜査記録の閲覧であり、同時に監視範囲を示してもいる。
 音声記録はもちろん、医療記録や主観映像まで第三者が閲覧可能な状態。
 日常生活の大半が監視状況であり、慣れるまで相当の高ストレス環境と言えるだろう。

 3つ目が、霧慧ヌァザが御冷ミァハらに対し行っていた人体実験だ。実験から生還した御冷ミァハは、意識の消失状態を「恍惚だった」と語る。
 ここで注目すべきは、御冷ミァハの年齢である。

ここから先は

1,400字

¥ 300

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?