SF読書会 REPOR-1-1『ファウンデーションシリーズ』
令和5年6月28日(金) 18:30~20:00
まちライブラリ―@森之宮キューズモール
趣旨:好きなSFを持って来て、愛を語ろう!という読書会
【参加者】
M先生 まちライブラリーで古代史とまちづくりの教鞭をとる。元公立大学の講師、現在も水曜日月1個古代史セミナー、木曜日にまちづくりセミナー開催中。NさんとともにSFが基本、SFで育った世代。羨ましい!
Uさん もと中学校の先生、M先生のSFお友達。伏兵的に鬼熱かった!!!ネタが広く、また、深く、かつ、面白い!……そういう点でも、読書会のダークホース的な存在!
ノッポさん まちライブラリ―古参。ホントにノッポさん。司馬遼太郎好き。今年の10月のブックフェスタでは長編小説読書会を計画中(←注目!)読書範囲が広い広い。ほぼどんな話題にも対応可能。
たにやんさん 今回最若手。読書会に若い風を入れてくれる!Facebookグループページでは、投稿があるとすぐに「イイね!」してくれる、グループのテンション維持に欠かせぬ方!
かじやんさん まちライブラリ―で読書会を重ねている。仕事でプレゼンされてただけあって、読書会での本紹介がホントにウマイ!マラソンランナーでもある。7月からもりの学校も開催中。
ノリ 小学生から山田風太郎、小学校高学年で新井素子でSFにハマり、映画ターミネーター頃まで萌えていたが以降、沈下。数年前、「折りたたみ北京」を読んで再燃。現在SF修行中!
本日はオチを言わない縛りで。
ノリ:今日はありがとうございます、念願のSF読書会を皆さまのお陰で開催できまして、ほんまに嬉しいです。
(拍手)
M先生:とはいえ、この机の上の状況ですよ。
机の上にはSF本てんこもり。それも古典めじろおし。それぞれ紹介するのは1冊の筈なのに、何ゆえ?(笑)
ノッポさん:負けず嫌いの集まりやなァ(笑)
Uさん:これだけでも写真撮っといたら
ノリ:あ、ほんまですね!写真とっときましょ(でも上手に撮れてなくて、後で号泣)で、今日はねー、先程も言ってたんですけど、一人5分話してもらって、5分質問タイムを設けて、10分づつにしても5人おるから50分やなと思ってたんですけど、5分じゃ足らんって言われた(笑) というわけで、フリートークで廻していこうかなと。次の人への思いやりでね。
ノッポさん:殴り合いになりそうやなぁ(笑)
ノリ:ほんまにほんまに。でもまぁ、自由ツッコミで。聞きたい事があったら、教えてもらうっていう形で行きましょうか。で、今日、一番ハナシタイっていっぱい持って来てくれはった、M先生から。
M先生:ネタバレ禁止で。
ノリ:あ、オチを言わない縛りで!
ファウンデーションシリーズ愛を語る!
M先生:今日持って来たのが、一番有名な銀河帝国の攻防ですね。ファンデーションシリーズ。僕が産まれた1952年前後……51年、52,53年に発売された本ですけど、中小出版社で売れなくって、10年間でWB社が目をつけて、版権買い取って、大ブレイクしたという。
あとそれでしばらく続編なかったんですけれど、20年ほどした80年代になって、「Foundationの彼方に」にと、「ファンデーションと地球」またどんどんと「ファウンデーションの序曲」「ファウンデーションの誕生」と出たんですけど、基本的なシリーズはこのファウンデーションの誕生で終わってます。
で、なんでコレを持って来たかというと。
一万年くらい栄えてきた銀河帝国が、滅びるという予測をした大学のハリ・セルダンという人が、滅びるのはまだ先なんだけど、いったん滅びたら第2銀河帝国までに3万年ほどかかる、それを千年に縮めるために、二つのファウンデーションを作る。
ノリ:ファウンデーション……(※)(←化粧品を想像している)
M先生:一つのファウンデーションは銀河の端の方に、科学者が、資源はないんだけど科学力で第2帝国を作っていこうとしている。これが第1ファンデーション。
第2ファンデーションは心理学で心理術というか、どちらかといえば精神感応みたいな、そういった者で人々を規制して、心理歴史学という科学でちゃんと計算された道を歩んでいくのをサポートする。
別に指導するような第2ファウンデーションがある。だから、本当に大事なのは第2ファウンデーション。
その第2ファウンデーションがどこにあるかというと、図書館に置いてある。
ノリ:おお。図書館!(←図書館大好き)
M先生:銀河図書館というね、帝国の首都のトランターの銀河図書館に第2ファウンデーションはある。つまり一番重要な第2銀河帝国の中心は図書館の中にある、これがね、アシモフの視点の良いところで。で、ここでやるのはちょうどいい。
ノリ:まちライブラリ―ですからね!
M先生:それでこれ(ファウンデーションシリーズ)したんですよ。
M先生:要するに人類のあらゆる英知を集約したエンサイクロペディア・ギャラクティカ(銀河百科事典)という百科事典を作ったら、おそらく帝国の滅亡は短くなるだろうというふれこみで作るんだけど……ほんとはほんとはそうじゃなくって。
ハリ・セルダンが心理歴史学という高度に発展した数学によって、色々な人間、多数のね、人間の心理とか行動を……ま、今のchatGPTのスゴイ大型のだね、それでもって未来が予測できるという。で、未来を予測して、第1ファンデーションが、イヤが応にも、銀河帝国の中心になるような場所とシュチエーションに置いた(というのが真相)!
幾つか必ず危機が訪れるんやけれど、必ず、その危機を乗り越えて行く方法があって、で、それを乗り越えていけば第2銀河帝国の中心になりますよっていうことでハリ・セルダンはそれを設けたんやと。
ただし、すべて計算したとおりに行くわけやないからね。誤差が生じる。誤差をどういう風に修正していくかということころで第2ファウンデーションが。そこは心理技術者がいて、少しづつ人の心を操りながら、計画どおりに進むようにしていく。
だからね。第2ファウンデーションの方が上なんだというのがあるんだけれどね。それからもいろいろありまして。後言うたらそれはネタバレになるから、言われへん(笑)
……でも、後のシリーズになると、心理学者っていうっても人間の世界やからいろいろ支配とか権力争いが出て来る。
一同:(……おッ?)
M先生:で、そういうのを超越させるためにもう一つのさらに新しいのが出て来る……これはネタバレになる! ネタバレになるから(笑)
Uさん:もうネタバレ(笑)
ファウンデーションがいっぱい(笑)
M先生、旧版のファウンデーションと新版のファウンデーションとをご持参(後でわかるんですが、Uさんのテーマ本だった、「夏の扉」の新旧版もご持参)。Uさんもいろんな秘蔵SF本をお持ち下さったんですが、どの本も日焼けしてたり、表紙がなかったり、でも……愛がこもり過ぎている!
こんな風に大事にされていた本たちは幸せだ!!!
(何故写真を撮らせてもらわなかったんだ、私!)
で、ここからは持って来ていただいた本、そのもののお話に。
ノリ:全部同じファウンデーションシリーズなんですか?
M先生:最初は創元推理文庫から出てた、で、先程言いました、厚木さんという人が訳している。で、こっちはハヤカワ。ハヤカワの方は岡部さんが。で、岡部さんの方が正確なんだけどなんかもっちゃりしてて。
(一同笑い)
M先生:こっちの創元SF文庫の方はさらさらっと読めるというか、テンポがいいんだけれど、ええ加減なところもあって、たとえば、ある議員さんが政府批判で追及された時に(厚木さんの方は)「いや、これは私じゃなくて、個人のものです」ってなってる。意味がわからへん。なんやろなってずーっと思ってたんです、で、こっちの岡部さんの訳になると「私じゃなくて、民間のものです」っていう訳になっている。
ノリ:あぁ、そういう……(というか、別訳出たら、読み比べるんだ! ←コレ、Uさんもやってはった!)
M先生:そう。『Personal』を(厚木さんは)個人と訳した。岡部さんは民間と訳した。だから、こっちのほうが正確なんだけど。けど。正確なんだけど。
めいめいで:もっちゃりしてる(笑)
M先生:そう(笑)。だから、読むならもう、イイですけど、「ファンデーション」シリーズ読んで戴いて、「ファンデーションの彼方」へ読んで戴いて、「ファンデーションと地球」を読んで戴いたら、基本的にはいける。
後はもうオマケみたいなもんで。ファンデーションが出来るまでの序曲と、誕生というのは遡って、オマケ。
ノリ:スピンオフみたいな
M先生:そうそうそう、スピンオフ。
ノッポさん:続きを(アシモフが)死んでから書いてる。別の人が。
ノリ:あ、そうなんですか。成程ねー!
M先生:ま、そういうコトです。
SFは基本。あの頃は科学に対する憧れがあった
ノリ:ありがとうございました! 質問タイムしたいんですが、いいですか
M先生:どうぞどうぞ
ノリ:それ、いちばん最初の本ていつ買った本ですか!?(本のノドが日焼けてて、愛の深さが判る! しかも、旧版と新版両方買って訳の違いを読み比べって(本の写真撮らせてもらっていなかったのが悔やまれます💦))
M先生:これは、1972年ですね。この前に1968年の本がまだあったと思う。そのころ、SFマガジン読んでましたですね。
ノッポさん:その頃からSFはお好きだった?
M先生:えぇ、そらもう(当然!)
ノリ:え?(もしかして)基本ですか?
M先生:そう、基本。SFは基本。というかね。あの頃、小学生向けの読み物とかにはね。そういう科学ものとか、SFものが入ってたんですよ。あの頃はね。そういった科学に対する憧れみたいなものがありましたよ。アトムなんかそうですよ。
一同:あぁー!
M先生:そういえば、よく読んでたね。
科学のふろくギャラリー|学研の科学と学習 ふろく大集合 (gakken.co.jp)
Uさん:読んでたっていうか、アニメから漫画からね。そんなんばっかりよ。SFしかないんか、という。
ノッポさん:少年マガジンの巻頭に、未来の何かとか載ってましたよね、確か。少年ドラマシリーズとかもあったし。
M先生:かならずね、その未来のビジョンとかでね、車がトンネルの中走ったりとかね。そういうのが必ず載ってた。
ノリ:私らの頃はあれでした。NHKで超能力の……
Uさん:『時をかける少女』?
ノリ:そうそう!
Uさん:『狙われた学園』とか。
ノッポさん:えぇえぇえぇ。
ノリ:あの辺が全盛期でした。そう、科学っていうよりは超能力?
M先生:眉村卓?
ノリ:はい、そうです!
ノッポさん:……ドラマシリーズや!
M先生:そんなんラジオドラマで福島正実って言う人が。
いっせいに:ああー!!!
M先生:「百万の太陽」というやつをラジオでずーっとやってました。
ノリ:その正実さんはあれですね。日本にSFを紹介した?
M先生:あぁ、そうそうそうそう……!
ノリ:熱いなー
M先生:ストーリーは忘れました(笑)
AIはヤバい?
ノリ:ちょっと聞いてみたい。こっち側(「私はロボット」←ノリ持参)とファウンデーションシリーズはどっちが先なんですか?
M先生:こっち(ファンデーション)ですけど、長いかな?中断している間にロボットシリーズがわーっと出た。
ノリ:じゃ、アシモフは宇宙船とかのシリーズの方が先だったんですね
M先生:んー、いちばん最初やったかな。いや、ほかにね、他にいっぱい書いてる
U さん:映画は見た?
ノリ:えっ。映画は知らないです
M先生:2008年くらいかなぁ
Uさん :あれはええよ、観て下さい。実は、最初は(読書会の持ち寄り本を)「私はロボット」にしようかなと思ってたんや。でも、読んだって言うてはったからやめた(笑)
ノリ:今読んでも全然古くないですよね
ノッポさん:そう、逆に近づいてるもんね。
Uさん:ロボット三原則ってね。アメリカのロボット工学の人たちはちゃんと学会で承認して、それをまもっていかなあかんってきはったんですよ。
ノッポさん:え、そうなんですか!
U さん:ところが、今のAIって横っちょからどーッと入って来たでしょ?
ノッポさん:そうですね。
Uさん:やばいんですよ。だから、ヨーロッパはまじで禁止しよかって。AI、まじでヤバいですよ。勝手に情報収集したり、個人のプライバシーとか何でもできますやん。
ノッポさん:それでいま、禁止しようちゅう話が出て来てるんですか!
Uさん:そうですよ。だから日本は文科省がね。それで宿題やったらあかんとか生ぬるい事を言うてはるけれど、全面禁止せなあかんのちゃうかって議論が来てるんですよ。だからその、ロボット三原則と全然関係のないところでああやってほら、ネット関係のね会社もうどーんとほら。Googleとかがいれてくるから……
ロボット三原則
ノッポさん:さすがにそこまでアシモフも預言できなかった。コンピューターはあんまり出てけえへんからな。
Uさん:やばいですよ。それこそほんま、ターミネーターの世界が普通になりますよ。
一同:うわぁぁぁぁ。
ノリ:スカイネットですね
Uさん:そうそう。だって電波は、いまでもすでに。アメリカの国防総省だって、コンピューターだいぶしてるんもん。ウクライナ戦争なんかみてもそうじゃないですか。
M先生:「われはロボット」の方が1年早かったみたいやね。1950年。けっこう古いのは古い。
ノッポさん:内容も短編集ですよね。短編連作集。
Uさん:映画も結構苦労してはった。ビジュアルが古いから。
M先生:あ、でも「暗黒星雲のかなたに」はもう書いてる。
ノッポさん:ファウンデーションの元になる話は書いてると。
Uさん:1950年っていうたら、70年以上たつんですが。凄いですね……
M先生:やっぱり、図書館にある、銀河帝国の中心を図書館に置いたという。そこが気持ちがいい。これを設定したというところがスゴイ。それが他になくって、これまでにそんなものは書かれた事がない。……図書館戦争やな(笑)
一同:爆笑
Uさん:あれはあれで面白かったですが(笑)
ノッポさん:影響うけてんねんなぁ……(笑)?
(REPORT2へ続く……!)
SF読書会REPORT、まだまだ続きます……(笑)
次回レポートは7月19日(水)アップ予定! 次は……「ドラえもん」!?でも、何故か話はますます混沌、最終的には「砂の惑星」へ?!
最後にアイザック・アシモフの作品年表を作って載せようかなと思っていたのですが、断念。「われはロボット」の巻末に瀬名英明さんの(げげッ、パラサイトイブの作者さまやん!)作られたロボット・AI関連作品の邦訳タイトル、原タイトル、初出、収録書籍・雑誌、日本版、登場キャラクターが一覧が載ってるんですが、それだけでも6P消費(笑)。
こちらのサイトでもアシモフ作品の紹介あり。