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性欲映画「ドライブアウェイドールズ」ネタバレ考察、小説 生首の解説。

ヘンリージェイムズって誰?

堅物のマリアンが読む「ヨーロッパ人」は19世紀に書かれた小説でヨーロッパ出身の姉弟がアメリカに行く話。これの作者がヘンリーだ。
姉弟の性格がマリアンとジェイミーに似てる。
姉は気品や知識がある一方、昔気質で打算的なところがある。
弟は自由奔放で魅力的だが、感情を優先し雑なところがある。
マリアン=姉、ジェイミー=弟。
性格の違いが小説では結末の違いに繋がり、映画では互いに影響し変わっていく。

後、ヘンリーに影響された人が書いた小説に「切断された頭部」ってのがある。これは文字通り生首が映画に出てくる。
小説はW不倫してる夫婦の話。
内容を調べると、性欲を、繁殖や愛情表現といった本能や感情的な動機を超えて、自分の利益や誰かを操る為に使われてる描写がある。※1

映画ではジェイミーが快楽に流される度に事態は悪化する。
権力者の男はヒッピー時代のフリーセックスが原因で脅される。

監督のイーサン・コーエンはレズの女性を結婚し、お互い別にセックスパートナーを持つ。脚本はその妻が関わってる。
この映画は性欲の在り方についてお話って事だ。

人は性欲から逃れられるか?

無理そう。
皆、有名人の性スキャンダルに夢中だし。買春も売春も無くならないし。
パパ活、性上納、頂き女子、もうセックスは道具になってる。

「切断された頭部」にも登場人物が相手より有利に立つ為に、心理的に操作する為に性欲を使う場面がある。

ジェイミーが毎夜するレズセックスは性欲が主な理由だ。
ヒッピー時代に象られた権力者たちにディルドは「これで一生愛していられる」ってセリフとは無関係な性的搾取と脅迫の道具になる。
さっきから同じ単語を繰り返してるけど、それ位、世界は欲望まみれって事だ。
生首、切断された頭部が意味するのは「理性の喪失」って言える。※2
肉体だけで行動するので性欲と支配欲が原動力。
別に子孫を残したいわけでも、愛情表現なわけでもない。

そんな事だからアメリカも日本も、離婚率は上昇し続けてるのかもしんない。
そうすると理性を取り戻せばいいわけだけど、理性的な性欲って何?

プラトニックラブ

ギリシャの哲学者プラトン発案の愛の理想形。
ネットで調べると
・肉体的な欲望を離れた純粋な精神的な恋愛
・心と心が深く繋がることによって生まれる愛
・互いの精神的な成長を促すことを目的とする
って事なんだってさ。

要はセックス無しって事でしょ?無理じゃね?
遠距離恋愛、婚前交渉なし、これも現代では何かしらの陰謀を感じるのは僕がゲスだから?
ヒッピーのフリーセックスと「切断された頭部」は60年代の出来事。
この時代は「第二次性革命」って言われる時代で性行為の娯楽性が高まった。なので現代では良くも悪くも完全なプラトニックは無理そうだ。
というわけで中庸を取る事になる。

過ぎたるは猶及ばざるが如し。

「ヨーロッパ人」の結末は、姉は結婚できずにヨーロッパに戻る事になり、弟は愛する人と結婚するって内容だ。
別に姉が失敗で弟が成功って事では無さそうなんだけど、姉の古風さがアメリカには合わなかったのはありそう。彼女は自分のスタンスを崩す気はなかったみたい。
でも映画のマリアンは違う。そもそも覗きをするスケベだったわけで、性欲は強い。欲望を切り離す事は出来そうにない、理性って首を斬り飛ばした結果が良くなかったように、極端に走ってもうまくはいかなさそうだ。
ってわけで性欲を見つめつつ、それを満たす相手を選び、互いの理解を得るのが最適解だ。
少なくともイーサン・コーエンの夫婦生活はそうなってる。

甘すぎるケーキも辛すぎるラーメンも体によくなさそうだし、性の抑圧も解放も程々にしておこうってお話。

備忘録

※1
ヨーロッパ人も切断された頭部も日本で読むのは難しかったので海外wikiから内容を調べたので間違ってる可能性があります。

※2
切断された頭部では不倫の理由を相手のせいにしたり、不倫してること自体を相手の心理的なプレッシャーに使ったりする。

切断された頭部に影響を与えたヘンリージェイムズの作品は「黄金の盃」
これも不倫の話。性欲やセックスを道具として使う話。

「DYKES」はDYKEでレズの蔑称。
色とりどりのサイケな演出はヒッピーのマリファナセックスの意味?

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