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テロ映画「HOW TO BLOW UP A PIPELINE」考察 解説。何故、爆破するのか?

キラキラネームは粗暴に育つか?

僕の名前はちょっと残念な感じのヤツだ。小学生の時はよく笑われた。
最終的には殴って黙らせる事になる。でも怒られるのは僕だけ。
先生は「暴力はダメだ。話し合いで解決しよう」と言う。
とっくに試したし、口喧嘩になれば名前の分 僕が不利だ。

あの時は先生が正しいって思った。言い返す頭もないしね。
もし今言うなら、
「じゃあ僕は毎日笑われてればいいんですか?」
悪いけど、他人の為に尊厳まで差し出せないね。

窮鼠猫を噛む。

原作は「国と企業には気候運動家の平和主義がもはや通用しない」って話をしてる。
規模が体制と運動家なんだけど、映画では個人の話に置き換えてる。
普段 生活していると気候変動を感じる事は少ない。気候変動だけでなく、目に見えないと関心は湧かない。
例えば、統一教会の問題やジャニーズ問題とか。
なんとなくは知ってるけれど、表沙汰になるまではほっておく。
その間の被害は無視される。
主人公たちは無視された被害者だ。

彼らの多くがテキサス州やカリフォルニア州に住んでいる。
この州は石油産業が発達していて、製錬所の付近は貧困層の居住区となっている。そこでの健康被害は現実でも報告されてる。
被害を受けても裁判する費用もなく、したところで何年もかかり被害者が死んでしまうケースもある。この映画のテオがその例。
先住民のマイケルや妊娠中の妻と暮らすドウェインは土地を奪われ貧困に追いやられる。※1
国や企業だけじゃなく、僕達の様に被害を直接受けてない人も知らんぷり。

同性愛者だったり、貧乏だったりと主人公たちは弱い立場にいる。
弱肉強食を建前に無視し続ければ、弱者は過激になっていく。
日本で言えば、安倍晋三銃撃事件の山上徹也がそうだ。
この行為が正当性かどうかは問題じゃない。
「追いつめられた獣は牙をむく」って状況
の方が問題だ。

気候変動で世界は終わるか?

気候変動の反論として、太陽活動説と周期説がある。
要は気候変動で騒ぎすぎって事だ。
でも、この説の科学的根拠は弱い。※2
運動家はそう強く信じてるが、僕達は日常を変えたくないから無視する。
すると彼らは武力行使にに出る。何もできない地球に代わって。
既に政府や国に対して、効果的な炭素税を導入しないなら運動によって事実上の税を課す。って発言をしている。「たわ言は聞き飽きた」とも叫ぶ。

こうなると戦う相手が気候変動ではなく、人になっている。
彼らにとっては正当防衛で、無関心な僕らにはテロに見える。
「どっちも、自分が正しいって思ってるよ。戦争なんてそんなもんだよ」
はドラえもんのセリフだけど、そうなる可能性はある。

これまでの歴史で運動家が武力行使をした例はいくつかある。
ネルソン・マンデラは虐殺事件後「暴力に対抗する暴力が必要だ」と言って警察だけでなく鉄道も爆破した。
サフラジェットも「言葉より行動を」と叫び、政府施設以外にも郵便ポストを破壊した。
直接的な加害者じゃないものも攻撃された。無関心だから。
いじめを見て見ぬふりする奴も同罪って事だろう。

僕達の多くは今、気候変動の被害を受けていない。運動家の暴力で財産を破壊されてもいない。
でも彼らの中には病に倒れ、貧困に追いやられてる。
逮捕されたローワンに女性警官が言ったように「輝かしい未来」っていう。
貧乏な人間が若かろうが輝かしい未来なんてない。どん詰まりだ。

僕がやってるゲームにテロリストのキャラがこんなセリフを吐く。
「一番効果的な解決法は暴力だ!」
明日、僕らの車が破壊されたって何も不思議じゃない。

備忘録

※1先住民のマイケルが「保留区なんて偽善だ」と叫ぶのは保留区に指定しておいて資源を採掘し土地を汚染した「ダコタ・アクセス・パイプライン建設」や「カリフォルニア州のシェールオイル採掘」の事を言ってるんだと思う。

※2
太陽活動説は1970年から活動が安定期に入ったのにもかかわらず、温度上昇は続いてるから。

周期説は南極の氷床を調べて昔の二酸化炭素濃度を調べるアイスコアデータで反論されてる。要は現代の温度上昇の速さとパターンの速度に差がありすぎるから。



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