修正映画「ジャンゴ 繋がれざる者」ネタバレ 考察
佐伯君は温厚
中学の時クラスで最初に彼女ができたのは佐伯君だった。
イキらず、勉強もスポーツもできちゃういい男。
彼女がうらやましくて僕らは毎日 からかった。
数日後、からかった奴がボコボコにされた。佐伯君は言った。
「俺にも限度がある」
西部劇じゃない。アメリカ人でもない。
南部で賞金稼ぎをするシュルツとジャンゴはドイツ人と黒人。
アメリカ人じゃない二人がレイシズムと戦う。
この時期のドイツ移民は知識人が多いからシュルツはどこか洗練されてる。
彼に影響されてジャンゴも洗練されていく。
シュルツは嘘もつくし殺しもするけど違法じゃない。
スマートなやり口に胸がすくんだけど、そうもいかなくなってくる。
悪法もまた法なり
ソクラテスは悪法によって死刑になりこの言葉を残し死んだ。
後から権力者がでっち上げた嘘って説がある。そっちの方が納得できる。
カルヴィン・キャンディは法の範囲内で活動する。
奴隷への暴力は合法。カルヴィンを殺していい理由はない。
シュルツの企みもばれてしまう。
ここからカルヴィンの怖さと強さがにじみ出る。
よくある展開ならカルヴィンが二人を殺そうとし、数に頼んだ悪党を主人公たちが倒して終わる。
でもカルヴィンは合法的に行動する。
手は出さずに情を利用して合法的に大金をせしめる。
二人はこれまでの手口をやり返され、苦渋を味わう事になった。
するとこれまでのスマートさを捨てて違法にカルヴィンを殺す。
シュルツは「失礼。我慢できなかった」と言い放つ。
温厚な佐伯君が暴力に訴えたように。
例え合法でも人にはモラルがある。それをひどく損なうならそんな法には従えない。
それでも法だったのかシュルツは死に、その後ジャンゴは彼の死体にドイツ語で「またな」と言い残す。
これは自分たちがアウトローになったことの宣言なのかもしれない。死んだら二人は地獄行き。悪法は無視もできるが罰もある。
ただ映画内で罰せられない。
負け犬の遠吠え
冒頭にわざわざ「南北戦争の数年前」と説明する。
奴隷頭のスティーヴンは最後に「キャンディランドは永遠だ」と叫ぶ。
要は南部はこれからも栄えていくと言いたいんだろうけどその後起こる南北戦争で南部は負ける。
戦後に発生するKKKも中盤でマヌケの集団だとこき下ろされる。
彼らの時代の終わりを爆音が告げていた。
備忘録
映画はずっと南東部が舞台で一度も西部に行かない。
カルヴィンがフランスにかぶれるのは貴族への憧れか?
アメリカ人はイギリス人にイギリス人はフランス人にコンプレックスを持っている。あんまり関係なさそう。
骨相学とかいうやつ
数世紀前から貴族主義や人種差別を正当化するための考えが現れ始めた。
ディカプリオはマジでケガしたシーンが使われてる。これでアカデミー賞とっても良かったと思う。