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恋愛が全てじゃない

ひとり旅

初めて一人で飛び出した
23歳最後の日
初めてひとり旅を計画した話です。

今まで私は、彼氏がいなかったことがなかった。
いつも誰かそばにいて、誰かに依存もしていたし、誰かを大切に想っていた。でもそんな私は、彼氏という存在を失ってようやく1年が経つ。
というか、恋愛依存症な私が、彼氏を作らない訳がないと思っていたが、大失恋の傷は大きく、トラウマも大きく、誰かをもう一度好きになって、好きになってもらうまで辿り着くことが難しかった。
大失恋後、何か大きなことがあったわけではない
一人に慣れたから、私が私と向き合う時間を作りたかっただけ

天気の良い日を狙って
ゲストハウスを予約した
前日から、いよいよ一人で旅をするんだという気持ちが高まり
ワクワクした

初めて知らない世界を見る
きっと知らない気持ちを体験することになる

そんなまだ見えない世界が
私の心を掻き立てた

車を走らせチェックイン

ゲストハウスのスタッフは温かみがあってとてもいい

笑顔でおしゃれな男性が迎え入れてくれた
猫ちゃんも紹介してくれた
ツナっていうらしい

お部屋には、ダブルベッドとカウンター机が一つ
窓が大きく一面に海が見渡せる

ああ私だけの空間だ

太陽が沈むまで
「私たちの青い夏」を見ることにした
ああこのドラマにハマってよかった
生きている今に希望が持てる、そんな素敵なドラマだ

夕食は、一階のバーで食べた
スタッフがいい人だから、ひとり飯食べながらお喋りをしていた
その人は「人と人が繋がれるような場所を作りたい」と言っていた
素敵な考え方だ
私の名前の由来がそうであるように
私もそんな場所にいたいと思う
そんな気持ちになる、暖かな夕飯だった

ひとりでいると
感じられるものがたくさんあった
1分ごとに表情を変える夕日が、今日は長く思えた
ここで聞く音楽も、ここで読む本も、なんだか格別に思えるのだ
深呼吸をして、目を閉じて、一旦何も考えない
毎日、普通に生きていると思っていた、そこまで大きなストレスもなく
けど、毎日何かに期待をして
いつの間にか不満や嫉妬や執着がたまる日常
ポジティブそうに見えて、心の底にある承認欲求が消えない日々
辛くはない、苦しくはない、ただ、もっと欲しいそれだけ
そんな欲張りな自分があまり好きではなかった

当たり前にいつも気づけないんだ
大切な人の大切な笑顔を
もっと
幸せだと感じたい

この1年間、悲しいことや新しいことがたくさんあった
思い返せば、1年で出会った人数は
この23歳が今までの人生の中で一番多いのではないか
それほどまでに出会いが多くあり、多く傷つき、多く傷つけてきたと思う
人と関わるのが嫌になることもたくさんあった
でもそれでもまだ期待をし、人との出会いを常に求める自分がいた
得られたものはなんだろうか、数えきれないほどあると思う

恋愛というものは
他に何もいらないとまで思わせてくれる、そんな薬
友人というものは
何も無くなった時に、包み込んでくれる場所
そんな暖かい人達ばかりだった
家族というものは
変わらず迎え入れてくれる、私にとっての原点であり
いつまでも気づくことができない、最高で最大の幸せのありかだと思う

大事なのものはきっとすぐそこにあるんだと思う

でも人は
忘れてしまうから

私は
こうやって
一人の時間を作って思い出すことにしよう

恋愛が全てだった私の周りには
恋愛がなくなった時に、こんなにも幸せにしてくれるものがあった
そして、自分が思っているよりも、もう大人になっていること

恋愛のせいで大切な何かを見失うことがないように
心に留めて生きていきたい



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