悪意の科学 感想
SNSなどを見ていると芸能人にひどいコメントを付けたりしていることがままあります。
そしてそれは自分が正義だ!と信じ込んでいるような様子が見られ、
「そこまでいう必要ありますか?」とコミュニケーションを図ろうにも
論点をずらされたりそもそも会話にならなかったりと大変厄介です。
こうした他者を貶めたりするような嫌がらせや意地悪、
つまり悪意は社会の進歩にとって不必要であるように思えますが、
どうして進化の過程でなくならなかったのだろうか?
というのが本著「悪意の科学」のテーマです。
個人的に面白いなと思ったのは
最低賃金引き上げに反対するのは企業よりも
引き上げ前の最低賃金より少し多くもらっている人たちである。
とか
最善は善の敵であり、良いことを行っている者の地位向上を阻止
するために、時に人は善人ぶる者に対しても罰を与える。
とか
罪は非協力的な人の行動を改めさせるために進化したのではなく、
自分の相対的地位を高めるために悪意のある行動をとる能力を向上させて、
その後、この傾向を罰という別の用途に使うようになった。
とか
人間は正しくあるよりも自由でありたいと願うため、他者に強制
されそうになるとその指示に反抗するブレイブハート効果。
とか
利他的な考えはいいように見えるが、実は悪意と結びつくと大きな被害
例えば自爆テロのような事件を引き起こすきっかけにもなる。
など・・・。
悪意に対する悪い面ばかりが注目されがちではあるが、
活用できる部分もあり、悪意とどう向き合っていくべきか考えるきっかけ
になるいい本だなと思いました。