お母さんの読書感想文「事実はなぜ人の意見を変えられないのか」
事実はなぜ人の意見を変えられないのかー説得力と影響力の科学
ターリ・シャーロット 著/上原 直子 訳
白揚社
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とても興味深い本だった。
私自身は、事実は判断材料として、重要なファクターだと思っている。
けれども、それだけで人を説得し、納得させられるとは思っていない。
それは、人には感情があり、感情で動くことがあるからだ。
事実に基づいて、論理的に考えたら、「それはおかしいでしょう」と思うようなことでも、人は感情の波に飲み込まれて行動してしまうことがある。
それに、思いのほか他人の影響を受けていることも、本書の指摘で納得した。
そう考えると、環境は大事だ。
多様な価値観が受け入れられる環境にいれば、いろいろな意見や考えがあることは当たり前だろう。
けれどもそうした環境に慣れていなければ、自分と違う価値観に出会ったとき、考える余地なく拒絶してしまうのではないだろうか。
意識していない部分でかかっている思考のバイアスは、よほどのことがない限り表面には出てこない。
これまで自分の中になかったものと出くわしたとき、そのバイアスに気付けるのかもしれない。
それは、自分をメタ認知できるかどうかが関連しているのだろうなと思う。
自分にバイアスがあるように、他人にもバイアスはある。
だから、自分のバイアスで見た事実を押し付けても、人の意見は変えられない。
となると「伝え方」が重要だ。
本書でも、伝え方を変えたら効果があったというエピソードが書かれているが、そこから自分が受けた印象からしても、なるほどそうかもねと納得できた。
伝わらない、と嘆いていても、何も変わらない。
伝わりやすくするにはどうすればいいか、の工夫を探すことを意識したいと思う。
2020年8月27日
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