お母さんの読書感想文「ミライの授業」
ミライの授業
瀧本 哲史 著
講談社
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「14歳のきみたちへ」から始まる本書。
教科の授業だけでなく、これから自分の人生を生きる彼らのために、視野を広げて考えるきっかけとして、こんな講義が受けられるといいなと思う。
実際に、学校に講師を招いてというのは難しいだろう。
であれば、学校の先生が、本書のエッセンスを使って授業を作ってくれるといいな。
子どもたちには、大人が忘れてしまった「なぜ?」を持ち続けてほしい。
人は、現実に飲み込まれて、考えることを諦めたり、なぜを見つける心を忘れてしまったりする。
そうなることが大人になることだ、という見方もあるだろう。
多くの大人が、そんなふうに現状に取り込まれて生きている。
そして、そんな現状に慣れてしまうと、変えることに抵抗感を持つ。
今回のコロナ禍でも、それは見て取れる。
変わらないと思っていた日常は、こんなにあっさり変わってしまうのに、なかなかそれを受け入れられない。
だが、社会は変わらなければならない。
予測困難な社会を、人は生きていかなければならない。
いつまでも変わらない大人に任せていても、おそらく望むミライにはたどり着けない。
私は、多様な人が互いを尊重し合いながら、チームでモノを作り上げていく社会になるといいと思っている。
だから、本書に書かれていることには共感する。
しかも自分には、なぜを見つけて考え続ける根気がなく、私自身が変えることを諦めてしまっている大人の一人だ、という自覚もある。
だとすれば、パラダイムシフトが起きるのを待つしかないのだろう。
今、私にできることがあるとすれば、子どもたちのなぜ?を否定せず、なぜ?を追究することの邪魔をしないことだろう。
そして、説明できないことはごまかさずに、わからないと認めて、私の代わりに調べてみて、わかったら教えて、と子どもたちの背中を押すことだろうと思っている。
2020年7月26日