お母さんの読書感想文「精読 学問のすゝめ」
精読 学問のすゝめ
橋本 治 著
幻冬舎新書
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「学問のすすめ」といえば、誰もがその名くらいは知っている福沢諭吉の書だ。
恥ずかしながら、私は読み通したことはなく、有名な「天は人の上に人を作らず、人の下に人を作らず」のフレーズを知っているレベルだ。
そんなレベルでもわかるかなと思い、本書を手に取った。
結果、正直言って、わかったとは言えないけれども、雰囲気を感じることはできたと思う。
一番印象的だったのは、後半で著者が指摘している「学問のすすめが言わんとしていることは、現在進行形だ」ということだ。
この国は、本当に近代国家になっているのだろうか。
学問のすすめで論じられている近代国家は、政府と人民の関係は対等である、となっている。
人民は主人と客の両方の役割を持つべきで、政府は人民が守るべき法を作り、人民のために働くものだ。
すでに私たちが知っている民主主義の形を示しているのだが、いまだにその理想形にはなっていないのではないか。
だから現在進行形なのだな。残念なことだけど。
それで、後からじわりじわりと効いてくるのが、「だから学びなさい」ということだ。
国民が学ばなければ、誰かの言いなりになって、とんでもないところに連れていかれるかもしれない。
戦争への道のりはそうだったのではないか。
バカじゃダメだ。
学ばなければ。
何を学ぶか、どう学ぶか、わからないことばかりだけど、それを自分で考えることが大事なんだ。
すぐに答えを探してしまうけど、それではダメなんだ。
答えのない問いをずっと考え続ける継続力を身に付けなければ。
ほんとに?と疑ってみる。
なぜそうなるのか?と背景を探ってみる。
狙いは何か?と本質を考える。
そんな視点を持ちたい。
自分で考え、自分で決める。その経験を積み重ねていきたいと思う。
2021年1月4日