お母さんの読書感想文「パンデミックの文明論」
パンデミックの文明論
ヤマザキ マリ・中野 信子 著
文藝春秋新書
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著者二人の対談を、まるで目の前で聞いている感じ。おもしろかった。
古代ローマの人たちも、今の私たちのように疫病で困っていて、そこからキリスト教が勢力を拡大していったという話など、とても示唆的な内容でおもしろかった。
やはり、個人主義の欧米の民主主義と、日本の空気を読む民主主義は違うんだな、と改めて思う。
コロナのパンデミックは世界を席巻しているが、欧米と日本では様相が違うのは、文化の違いという要素が少なからずあると思う。
ウイルスを敵と考えて「闘う」と考える人々のマインドセットよりも、撲滅してやるというよりは「共存」してやり過ごそうという日本的な対応に共感するのは、私がどっぷり日本的な文化を受け継いでいるからだろう。
グローバル化とさんざん言われているけれども、そもそも背負っている文化が違うのだから、他国の価値観をそのまま浸透させることは難しいだろうと思う。
けれども、鎖国中の江戸時代に生きているわけではない私たちは、世界の中で生きていくために、私たちなりに変わっていかなければならないのだ。
国の進む道という、とてつもない大きな物語は、私たち庶民にとっては想像しづらく、結局誰かがやってくれるでしょう、という他人任せになってしまう。
「お上」という意識が強い文化であることもわかった上で、考えることを放棄するのではなく、それでもこうなったらいいな、と理想を描けるような思考を持っていたい。
今目の前にあるさまざまな問題は、きっとこの大きな物語とつながっていると思っている。
だからこそ、頭の片隅に、任せたい他人像を考えるスペースは持っていたいと思う。
2021年2月6日
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