
お母さんの読書感想文「この国のたたみ方」
この国のたたみ方
佐々木 信夫 著
新潮社
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「たたみ方」という表現にひかれた。
これから人口減少が進み、労働人口も減る日本で、これまでのような経済成長は望めない。
高齢化が進み、社会保障費が膨らむことが目に見えているのに、それを工面するための消費増税が、それだけに使われるとは思えないし、もしきちんと使われたとしても足りなければ、また国債で穴埋めするのだろう。
成長することが難しいのに、借金ばかり先送りしていては、この国は立ち行かなくなるのではないか…漠然とした不安をずっと感じている。
このままいけないとすれば、どうすればいいのか。
やはり、徐々に縮小させていくべきだろうし、身の丈に合わせたやり方にしていくべきだろう。
本書のあとがきにあるように、「たたむ」という言葉に込めたニュアンスは「折って重ねる」「重ねるようにしてすぼめる」ということで、たたんでお仕舞いではない。
そのための提言として「道州制」というのは、なかなか興味深い内容だった。
県をたたみ、複数の県を州としてまとめて、地域性を生かした独立的な行政を行う。
二重行政をなくして、必要な資源を必要なところに投下できる仕組みを作るべき、という主張は、なるほどと納得できるし、税金の使い道が自分たちの目に見えることで公平感も持てそうだ。
こうしたことが、もっと議論されるといい。地域から声を上げていけるといいのだが。
2019年11月24日
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