神は細部に宿るか…?(2)
学生時代の大半は金沢で過ごしました。
4回生になって、卒業単位は揃ってはいました。
というより、法文学部というというところにいたので、文学系、経済学、法学どの講義も卒業単位になり、面白い講義は単位に関係なく出ていたので、単位はうなるほどあったのですが…。
哲学科に所属してましたが、専攻は社会学。
卒業するためには卒業論文を書かなければならないのですが、恥ずかしながらテーマを絞りきれず、留年。
普通4年のところ、5回生に突入してしまいましたが、研究室には8回生をトップに錚々たるメンバーがいたので、まだまだ若輩者でした。
当時、学費が年間72,000円で半期に半分払い。
休学の手続きをすればその期の支払いはなしという、今からすれば驚きのシステムがこういう状態を作ったのかもしれません。
単位は取れているので、もちろん私も休学。卒業する最後の期は復学しなければなりませんでしたが。
学費は大したダメージではないものの、生活費はなんとかしなければならないので、大学の学生課でアルバイト探し。
休学していても学生課に寄せられる求人には応募できるという、これまた夢のようなシステム。
時給が一番高かったのが「土木作業」の550円。でもこれは長く続けるには体力的な問題が。
ふと目についたのが「農作業」。これも550円。
土木よりはましかと、内容はわからないまま行ってみたらスイカの栽培作業。
(金沢といえば兼六園、金沢城というイメージでしょうが、海岸線は砂浜でスイカと大根の産地でした。)
5haのスイカ畑をおじさんと私のたった2人で作業。
草取り、スイカのツルを広げるための藁敷き、受粉、間引き、とにかくバラエティに富んだ作業。
最大の難事業は収穫直前のスイカの反転作業。
実ができて、下になった部分は陽があたらないため、黄色で緑色にならず、商品として出荷できないので、反転させて陽に当てて緑色にするのです。
大きなスイカは重たいし、ツルは細いので、ボキッといったらアウト!
スイカは季節ものなので、出荷先の気温によって値段が10トントラックで何十万円も違うとのこと。
その日、一番高く売れる市場に持って行くので、トラックの運転手さんも出発直前に行き先を告げられるそうです。
スーパーで売られているスイカがこんな過酷な状況を経て並んでいるとは思ってもみませんでした。
農家のおじさん言うには、ヨメさんと二人でやってたんだが、疲れて倒れてなぁ、って私はその倒れたヨメさんの代打ってこと。
不思議と毎年助っ人のアルバイトがいるものなんだよなぁ、って日本の農業ってこんな綱渡りでやってるわけ?
今はどうなのか…。
スイカ一つでも、突き詰めてみると、突然「世界はこんなふうに成り立っているんだ」と開示される時があるものなんだってつくづく思ったものでした。
開示されても何ができるって事でもなかなかないのですが…。