従業員の困りごと⑱
彼女は、学生時代に物事の優先順位をつけることやコミュニケーションが苦手で発達障害と診断されました。入社当時は、障害者手帳を取得しておらず一般枠のエンジニアとして入社しました。
入社後、障害特性上、業務の進捗管理がうまくいかずに悩んでいることや、慣れない環境のなか疲労が溜まり体調を崩すことが多く、仕事を続けられないかもしれないと相談されました。
彼女の悩みは「障害」というより「個性の範囲内」のことであり、一般的な新入社員の悩みと変わらないように思えました。
障害特性を個性の一つととらえて、社内業務で出来ること、出来ないことを丁寧に聞いていき、無理なく出来ることは何なのかを探っていきました。
その結果、事務作業を任せていくことにしました。定型化された業務の多い事務作業ならば大丈夫と判断しました。
彼女の働きぶりは、職種の変更により安定しましたが、彼女が更に活躍するためには、どのような指導・配慮が必要なのか迷っていました。
そこで、業務を振り返り「出来たこと・出来なかったこと」を整理し、今後の目標を設定する「目標設定シート」の活用を考えました。
彼女が記入したシートをもとに、担当業務への評価、課題、目標について面談を実施します。話し合うことで意思疎通を図ることができ、仕事ぶりを評価することでモチベーションアップにもつながっています。
彼女から障害の相談があったとき、苦手分野は誰にでもあり、貴重な人材をどのように活かしていくかを考えました。
彼女が事務全般を担当するようになり、周囲の社員からは「自分が注力すべき仕事に専念でき、とても助かっている」という嬉しい声が届いています。
貴重な人材を活かしながら、社員の生産性を上げることができたことは、大きな成果と思っています。
YORISOU社会保険労務士法人の宮川です。わたしたちは、企業が抱える従業員のお困りごとに対して、積極的にサポートしていきます。また、育児・介護・病気と仕事の両立支援についても、企業を支えていけるよう職員全員でがんばっています!
*本文の内容は、行政機関で紹介している障害者雇用の事例集などを参考に 作成しています。