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クリエイターの皆さん!写真ACやイラストAC、動画ACなどにアップロードすると著作権が譲渡されるって知っていましたか?

2024年夏から撮影業務も対応しようと、撮影の練習を重ねています。
その一端で、各種ストックサービスにクリエイターとして登録し、写真や動画を販売するようにもなりました。
その最中で知ったことかつ、
「知らなくてあとでトラブルになったら嫌だな……」
と思ったことがあったので、(トラブルが起きる前でしたが)自分の備忘録がてらに記載します。

新米のクリエイターや、僕と同じであまり交流のないフリーランスの方。あとは、副業などでお小遣いを稼ごうと思っている人に届けば幸いです。



ACワークス株式会社のサービスは、作品をアップロードすると著作権が譲渡される

リーズナブルな費用にもかかわらず多くの写真やイラスト、最近だと動画も充実してきた(もちろん無料でも利用可能な)ストックサービス。
それがACワークス株式会社(以下、ACワークス)が提供するサービスです。

僕も大変お世話になっています。いつもありがとうございます。
僕はイラストACをメインに、動画ACもよく利用します。
写真ACやデザインACも割と使っている方かなと思います。

ストックされている画像やイラストたちは、最近だと(WEBCMはもちろん)TVCMやパンフレットなどにも多く使われているところを目にしますので、本当にすごい人気なんだなと思います。

このようにダウンロードユーザーとして利用していたときには全く気にしていなかったのですが、いざ自分が素材を作る側になってみると、少し驚いたことがありました。

普段利用している動画ACの、利用規約の一部を引用します。
※他のACワークスのサービスでも大差はないはずです。

動画をアップロードしたことにより、会員は、動画の一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)その他当該動画に係る一切の権利を弊社に譲渡し、以後、動画に関する著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)その他当該動画に係る一切の権利は弊社に帰属します。また、当該動画に関し著作権その他の権利性が認められない場合、アップロードした会員は、当該動画の使用に関し、弊社あるいは動画をダウンロードした利用者、その他いかなる第三者に対してもその使用について何ら異義を唱えないものとします。これは学校や教育機関など、グループとして動画をアップロードする場合にも適用されます。

動画AC利用規約

クリエイターなら報酬の多寡と同じくらい著作権や使用権には気を配っていると思います。ライセンス周りって知らなかったでは許してもらえないですもんね。気にしすぎるくらいでいいと思います。

僕の完全な思い込みでしたが、ストックサービスに投稿されている(ダウンロード可能な)作品は、全て制作者にあると思っていました

でもそうじゃないんです。

ACワークスのサービスはみな、アップロードした時点で著作権が譲渡されるんです。

「知らないうちに著作権侵害しているのでは?」と不安になった

ACワークスのサービスは著作権が譲渡され、それによる行動の制限の様子
ACサービスの注意点まとめ
※クリックしてみてね

プロアマ、本業・副業問わず。
クリエイターの仕事をしているとほぼ必ず通る道かと思いますが

  • 作った人に著作権があるのか

  • 発注した企業(または人)に著作権があるのか

この問題に直面する機会があります。

基本は契約内容によって全て決まるので、どっちが正しいとは言えません。
心情的には「依頼しただけ・・の人に著作権があるってなんか違和感があるよな」という本音の部分もあります(発注者としての経験があってもそう思います)。

まぁ長いものには巻かれろなので白黒つけるつもりはありません。どっちでもいいです。契約が全てだと思っています。

ただ僕がびっくりしたのは、(当然)コンテンツの著作権は作った本人にあると思っていたので、かなり意外でした。
同時に不安が、大きな音を鳴らして目の前を通過して行きます。

「他のところにもアップロードしているんだけど、そっち側で著作権を侵害している……のでは?」

具体的な方がわかりやすいと思うので、僕の例で話します。

AdobeStockやshutterstock、PIXTA(以下、その他のストックサービス)に投稿している私が撮った動画や写真たちは、ACワークスのサービスにアップロードした時点・・・・・・・・・・でACワークスに著作権が譲渡されているため、その他のストックサービスの中の人たちが「これ他人の(ACワークスに著作権がある)著作物だよね?」となるのではないかと不安になった。

そういう話です。

またACワークスの利用規約には、こんなことも書かれています。

弊社は動画をアップロードした会員がアップロードした動画を、他の素材ダウンロードサイトにアップロードすることを許可します。但し、アップロードした素材ダウンロードサイトが、動画の著作権をダウンロードサイト運営者あるいはユーザーに移転させ、あるいは放棄させる内容のものである場合は、この限りではありません。

動画AC利用規約

要するに

  • 「他のストックサービスにアップしてもOKだよ」

  • 「でも、アップしたそのサービスが(僕たちACワークスと同じく)著作権を譲渡するような形なら、ダメだからね」

こんな内容です。
安心していいのか悪いのか微妙なところですが、ここで大きな不安がまた生まれました。

その他のストックサービスの規約が変わって「著作権を譲渡する」という規約に変わった場合。
ACワークスにアップロードした素材たちと重複ができなくなるため、どちらか一方の作品のアップロードを削除しないといけなくなります

さらに、規約にはこうあります。

また、弊社は、動画をアップロードした会員がその動画を他の素材ダウンロードサイトにアップロードすることが許可される場合に、その動画が、そのサイトのユーザーにより適法にダウンロードされたときは、弊社はそのユーザーに対して著作権を主張しません。
弊社が行う動画コンテストの賞金や賞品の獲得のみを目的に、一時的に動画を掲載し、すぐに動画ACから当該動画を削除することは禁止します。
アップロードした動画を会員が弊社の承諾なく削除することはできません。

動画AC利用規約

要するに

  • 「他のストックサービスでダウンロードされたものに、著作権は主張しないよ」

  • 「一回ACワークスに掲載したなら、勝手に消さないでね」

こんな内容です。

以上をまとめますとこちら。

ACワークスのサービスは著作権が譲渡され、それによる行動の制限の様子
ACサービスの注意点まとめ
※クリックしてみてね
  • その他のストックサービスが「あれ? これACワークスの著作物じゃね?」となって、不利益を被る可能性があるかもしれない

  • 複数のストックサービスを利用しても良いけど、ACワークスと同じような規約のところにはアップしちゃダメだよ

  • 勝手にコンテンツを削除しないでね

今のところ僕は不利益はなかったし、その他のストックサービスでも審査は普通に通っています。

収益も幸いなことにすぐに発生してくれているのでありがたい限りではありますが、知らなかったでは怖いなと思ったのでまとめました。

これを受けて、具体的な解決策は2つかなと思います。

  1. ACワークスにアップロードする作品は、専用の作品

  2. ACワークスを利用しない

2は個人の自由なので言及しませんが、1については頭の隅っこにでも入れておきたいなと思いました。

利用規約なんて頻繁に確認するものではないですからね。知らないうちにACワークスと同じように「アップしたら譲渡してもらうよ」というスタイルに変わっている可能性はあるかもしれません。

また大手の有名どころでは制作者に著作権があることが一般的かなと思いますが、サイトによってはACワークスと同様の規約になっているところがあるかもしれません。

何も知らないダウンロードユーザーがAC経由でダウンロードをして、別サイトから訴えられる……なんてことは考えすぎかもしれませんが、やはり気をつけたいところですね。

ただ本音、いってもいいですか?

ACワークスの報酬ってマジで数円とか数十円レベルなので、そのためだけに専用のコンテンツを用意するのは限界があるかなという印象です。
語弊がありますが、一軍は他のストックサービスで、二軍がACワークスで……みたいな感じになりそうで怖いですね。
映えたらインスタで、失敗したらTwitter(現X)で……みたいな。

なぜ、その他のストックサービスとは違い、著作権を譲渡しなきゃいけないの?

ここまで読み進めてくれた方にとって、最大の疑問がこれだと思います。

「なんでACワークスは、著作権を譲渡させているんだ?」

これはACワークスのヘルプに記載がありました。

素材を投稿したイラストレーター・クリエイターが、素材を正常にイラストACからダウンロードして利用規約の範囲でご利用いただいていた方へ、著作権を主張するトラブルが過去に多発しました。
同様の問題を未然に防ぐため著作権を譲渡いただいております。
あらかじめご了承いただきますようお願い申し上げます。

ACヘルプセンター

要するに過去にトラブルが頻発したから、解決策として著作権をもらう規約にしたよってことのようです。

……ってここで終わると不十分なので、なぜ著作権をもらうことにしたのか?
公式での回答ではないですが、規約にヒントがありました。

先ほどの引用を再び掲載します。

動画をアップロードしたことにより、会員は、動画の一切の著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)その他当該動画に係る一切の権利を弊社に譲渡し、以後、動画に関する著作権(著作権法27条及び28条の権利を含む)その他当該動画に係る一切の権利は弊社に帰属します。また、当該動画に関し著作権その他の権利性が認められない場合、アップロードした会員は、当該動画の使用に関し、弊社あるいは動画をダウンロードした利用者、その他いかなる第三者に対してもその使用について何ら異義を唱えないものとします。これは学校や教育機関など、グループとして動画をアップロードする場合にも適用されます。

動画AC利用規約

太字にした「著作権法27条及び28条の権利を含む」の部分。
この条項は「著作物を変更できること、その変更によってできた二次著作物を利用することができること」が書かれているようです。

僕もイラストをダウンロードして服の色を変更させていただいたり、キャラクターの表情を差し替えたり、AとBのイラストをガッチャンコして新しいイラストにすることがあります。
それを可能にしていたのが、この規約部分になります。

これは推測ですが、

  • 作ったものはそのまま使うべきだ(著作権はクリエイターにある)

  • 新しい構図や表情が必要なら、きちんと費用をクリエイターに支払って、新規で制作を依頼したら良い

そんな話があったのだろうと思います。
僕も普段、映像を作っている立場です。
クリエイターの端くれとして、クリエイターの心情は痛いほどよくわかります。むしろそっち寄りです。

修正と変更を履き違えているクライアントさんとか、めちゃくちゃ多いですからね。根幹としては同じ話だろうと推察します。

しかしACワークスに限らずストックサービスをダウンロードユーザーとして利用もしているので、上記の主張では不便であることも理解できます。

アート作品などと違って、ユーザーはその人の作品そのものが欲しいわけじゃないんですよね。残念ながら。
ストックサービスというはそういうものです。

ということは、ですよ?
ACワークス以外のその他ストックサービスの画像や動画は、基本的にそのまま使わないといけないってことですね。
動画でいうところのプラグインやテンプレートの「商用利用」と似ている話なんだな……などと勉強になりました。


以下、この記事を書く際の参考になった記事や動画です。
ありがとうございます。


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