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バーチャル短歌結社・四号線 第2巻第4号(通算14号)2022年4月

・短歌連作「ニーチェは狂って死んでしまった」

嘘をつく能力なんて忘れてる五十路の自我を笑い飛ばそう

雨粒に押されて落ちる花びらにそれはちいさな明るさを見る

それが虹であることに変わりはないガレージ前に屈む子らには

「一(いち)」という数字を想う戦死でも病死でもない兄の周忌に

聞いたこと思い出してもそれだけでウクライナには美女が多いと

むりやりな「東京物語」を強い気に病んでいる老父母の帰路

真夜中に目覚めてしまうことに慣れ老いとは潮の満ち引きに似る

人間の自意識なんざ悪い夢イヌの概日リズムは確か

憎しみのほうが愛より遠くまで届いて北の風へ傘さす

年金は払う わたしのいちばんの短歌(うた)の読み手の父母の生きゆけ

あまりにも短い春でまたも過ぎひらく躑躅の花の不満気

十七歳(じゅうなな)で抱えた夢は意外にも初老が来ても外れちゃいない

善悪は超えねばならぬと識りながらニーチェは狂って死んでしまった

はじめから待つこと以外ない夏と鄙びて朽ちるバス停に座す

楽しいか楽しくないか訊かないで 夏の本質めいた渚へ

東京に産まれただけのヒトと居てすべて奪ってやると誓った

足腰は酒に負けても思春期のむしろ味方でありたくて居る


・雑感

毎度です。すごくいろいろなこと考えたひと月だったのですが、今思い起こそうとしてもいっこうになにも言葉にはならなくて、思考するってそういうことかもしれず、その時その時つどつど巡るものであって、あとで文字に固定しようと思ってもめちゃくちゃ外れてくからイライラもして、まあ、諦めてしまう。だから通勤の時間とかにその場で考えたことをぱぱぱと歌にしてしまう、私のスタイルは、そういう感じです。そんな時に娘からLINEが来て、キノコが言語を持っているのだそうです。やっぱ、人間て人間のことばかり想いすぎなんすよ、きっと。空を見て、風を感じました。サンキュー、娘。

もし、短歌を書いて何らかの金銭的サポートをいただけたなら…、奇跡的に嬉しいです、踊っちゃいます😊もちろん少額でオッケー、死ぬまで感謝し続けます🥹