バーチャル短歌結社・四号線 第1巻第10号2021年12月
・短歌連作「雨を轢く」
紅葉も滝も時間もはりぼてのこの箱庭のすべてを愛す
乗り換えのベンチ冷たいでも短歌(うた)は片手間で詠むほどで正しい
ねえ、みんな、生きてるだけでグッジョブだよ 明日のことは明日想おう
ぼくたちは「空耳アワー」でけらけらと洋楽を受け容れたのだった
生きかたがシンプル過ぎても辛かろうあっちがダメならそっちでいいから
嘲笑がありふれていたシャンパンとひとり迎えるクリスマスには
若人よ世の公平を唄いつつ泣けた聖夜を知っていますか
アフリカの飢餓を憂いつケンタッキーフライドチキン頬張る聖夜
いきもののこころの底に死が在って消せないのです んじゃあ、捨てれば?
ビニールは逆効果だと思うんだ ラノベの棚の前でおっさん
段々と論理は破綻まっくろなヒートテックがのぞいているよ
きみが云う東直子の歌により雪がこわいと思いはじめる
寂しくて寂しくてまた求めても灯すはひとり聖夜のマッチ
ミサイルも整備中だし戦争はやめておこうよクリスマスだし
トラックが真冬の雨を轢いてゆく音だけがあるそういう夜明け
・雑感
寒さのせいか歳のせいか夜中に目が覚めてしまうことが続いています。生きるためには基準が必要だなあと、この疫病蔓延下の世間ではより強く感じるのだけれど、それは自分の中に見つけていくもので他人に求めてはならないし、いっぽうで固執はせずにいつでもぽいっとできるようでありたい。めんどくさいですか?でもまあそういうかんじで10号達成。これからも続けるんじゃないかな。あ、個人誌じゃないんで、載せたい方はいつでもどうぞ。
もし、短歌を書いて何らかの金銭的サポートをいただけたなら…、奇跡的に嬉しいです、踊っちゃいます😊もちろん少額でオッケー、死ぬまで感謝し続けます🥹