心優しき私刑人「イコライザー THE FINAL」
マッコールさん、こんなに残酷だったっけ・・・?
シリーズ最強にして最恐!悪者たちに同情してしまう。関節技というか人体の構造をよく理解しているマッコールさんは、武器を持った奴にもひるみませんし、反撃の手をゆるめません。暗闇から音もなく現れる彼の描写に、後半は、ほぼホラー映画状態。懲らしめた男が時間通りにちゃんと死ぬかどうか、這いつくばって逃げる所にゆっくりついて行って、絶命する様を見届けるマッコールさん。彼を見る悪者の絶望感たるや。
シリーズ第一作目の「イコライザー」では、ホームセンターで働くマッコールさん。穏やかで優しい人柄から、暴力とは無縁の人だと同僚たちからも思われていたでしょう。それなのにああそれなのに。
イコライザー2でもその切れ味は衰えず益々洗練されていきます
そして今回の「イコライザー THE FINAL」
なぜ、マッコールさんが好きなんだろう
法で裁けない悪を懲らしめるから
彼は引いた目で見れば殺人鬼です。いくら悪者と言っても、殺していい訳ではないでしょう。しかし、それはあくまで安全地帯から見た考え方。どうみても理不尽な暴力にさらされる街の人を見たらどうにかしたいと思うのは当然。今回も、とある事件で犯行の様子がうつった防犯カメラがあり、それを見つけた刑事の一人が上にその証拠を提出しています。ですが・・・。という展開があったり、ホテルの立ち退きを拒んだ人に対する暴力を見たり。そんな奴らがやられるのは因果応報。
殺す前にちゃんと警告するから
マッコールさんは、悪者に対してもちゃんと警告します。ここで手を引いたら何もしないといったような。親切ですね。これが最後通牒です。誰一人として、聞く人はおらずそれどころか笑ってしまったりしますが。舐めていた相手が強敵だった時の驚きと絶望。今回は悪者にちょっと同情する位、酷い殺され方。自分のかけがえのない「命」と天秤にかけた悪事は、そんなにも大切なものだったのだろうか?と後悔してももう遅い。あいつら自分は死なないとでも思っているのだろうか。
マッコールさん自身の葛藤を感じられるから
今作、イタリアの描写が素晴らしくて。街に観光に行っても分からないような中の雰囲気。景色も街の人々も、最初こそ得体のしれないマッコールさんを物珍しく見ますが、すぐに馴染んで、暖かく優しい時間が流れていきます。観ながら、ずっとこのままなら良いのにと何度思ったことか。マッコールさんも自分の居場所はここだと心から感じられる所に行き着き、本当に穏やかに過ごします。あいつらさえいなければ・・・。
ジョン・ウィックの時も思いましたが、その穏やかな日々を破壊する悪者がいなければ。いや、それが映画なのだと分かっていてもなお、退屈でもいい、彼らに穏やかな日々をおくらせてください。と思ってしまう。
彼の最後を映画館で見届けて!
「最期」ではなく、「最後」という点が肝です。穏やかなマッコールさんと私刑人のマッコールさんシリーズは、なんぼあってもいいですからね。
おまけ:「イコライザー」実はテレビシリーズの劇場版だった!
イコライザーのことを知りたくてWikiを読んだら、なんと、この映画自体1984年から1989年にかけてアメリカ合衆国で放送されたテレビドラマ『ザ・シークレット・ハンター』の劇場版だったことを知る。
なにそれ観たい。スパイものじゃないか。しかも全79話!