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20250223 引っ越しの心理学

 引っ越しシーズンに入りましたね~昔は「いかに業者に値引きをさせるか」という関心が高かったののに、最近は人手不足で「繁忙期にどうやって業者を確保するのか」に関心が移ってきているように思えます。
 で、引っ越しに関して何か心理学的な研究でもないかな~と思って探してみるとみつかったのが以下の大会発表要旨でした。
【書誌情報】
小林穂波・紀ノ定保礼・伊藤友一 2022 労力による損失割引のベイズ階層モデリング. 日本認知心理学会発表論文集, 2022, 57.

 基本的には引っ越しを題材に「お金払って人にしてもらうのと自分でするのとどっちを選ぶか」についてモデルを作成してその比較を行っていると思います。私は数学が全然できないのでベイズ階層モデリングも指数モデルも双曲モデルも意味が分からないのでこの研究の意味は分からないのですが、面白いなあと思ったのがその状況設定で「2万円払ってすべて人にしてもらうか、2000円ずつ代金を節約する分自分が作業をするか」というものでした。
 この設定は調査対象者が大学生なので、大学生が近距離で下宿を引っ越しすることをイメージしているのだと思います。私もサークルの先輩に車出してもらって引っ越したことあったよな~と思いだしました。しかし直近の引っ越しである「大学の異動時の長距離の研究室と自宅両方の引っ越し」を考えたら…全然世界が違うよなあと。
 そんな感じで一言で引っ越しと言ってもその内容はライフステージで全然変わり、「引っ越しの発達段階」的なものを設定できるような気がしました。そのため、年代的に自分のしてきた引っ越しを振り返ってアドバイス的なものをな書いてみたいと思います。

1.実家を離れて進学・最初の就職をするとき

 この時点では「0から1」の段階なので、住む場所を確保した後はベッドや家電などの大きなものは「現地で揃える」のがいいと思います。その方が現地のお店を知ることができますし、自転車などはアフターサービスなどを依頼することになるので現地で買うのがマストだと思います。
 実家からの荷物は近距離なら親の車で運び、遠距離なら段ボールで運べるものだけにして宅配便で送るか、各社の単身引っ越しパックで送るのがいいと思います。最初の引っ越しで単身パックで送れないような大量の荷物を送るような引っ越しだけはしない方がよいと思います。

2.学生時代などの近距離の引っ越し

 学生の間に下宿を移動する人は結構多いと思います。その際、友だちに依頼することが多いと思いますが、すごく仲が良く能力的に自分と同じ友だちが複数いる場合以外はあまりお勧めできません。
 大きな荷物をもって階段を上がったりドアを通ったりするコツを知らない人が多いので落とされたりぶつけられたり怪我したりのトラブルも多いです。また、お礼は飲み会で全額おごりとかにすると結構な額になることも多いので、それならばプロの赤帽さんにすべてお任せした方が安く安全で素早く終ることも多いと思います。
 まあでも、引っ越しで疲れた後新居で皆で飲むビールというのもまたおいしいのも確かではありますが。

3.就職などで単身だが遠距離移動の場合

 学生から就職の場合、引っ越し代などを負担してくれる企業もあるようですがそんな会社はほとんどないと思います。
 就職の場合引っ越しは繁忙期になることが多いと思うので、家財全部を引っ越し業者にお願いするとかなりの金額になってしまうと思います。それならば、学生時代の小さい冷蔵庫やきしむベッドなどは後輩に譲ったりするなどして処分し、単身パックに収まる量にして現地で新しく買っても金額的にはトントンになるような気がします。

4.世帯での移動

 ここでいきなりステージが変わり、これまでの「単身パック使用」ができずに引っ越しサービスを使う段階になったと思います。
 基本的に「ネットでだいたいの相場を事前に確認しておく」「合見積もりは絶対に必要」と「職場の補助が出る場合でもそれは業者に言わない方がいい」「予算は少なめに提示する方がよい」という方針はあると思います。
 今はネットでおおよその荷物量を入力すれば自動で見積ができたり、他の家庭が引っ越しでかかった料金の報告なども多くみられてだいたいの相場観は事前に把握できると思います。その際、「人は基本的には自分の都合の良い情報ばかり見てしまう」ため、すごく安価で実現できた引っ越しの事例の印象が強く残ることが多いことはあります。また、多くの人が段ボールの追加をすることになることからわかるように「自分の荷物量についての過小評価」もするので、自分が「~円ほどにおさまりそうだ」と思った金額の2倍はいらなくても1.3倍くらいの金額にはなりそうだと思っておく方がいいような気がします。
 引っ越し業者の営業さんは基本的には「ドアインザフェイス」の技術を使うことが多く、フルサービスの高い金額を出してびっくりさせたあと、荷造りを担当してくれたら~円まで安くできます、混載便にしてくれたら~円、他の引っ越しの復路にあたる日を選んでもらえたら…などと値段を下げることでお得感を演出することが多いと思います。
 日にちに余裕のある時には実際に自宅まで数社見積もりにきてもらうのが必須だと思います。その際、ある程度「この会社が一番安くしてくれそう」と思う会社を最後に設定し、他の会社が出した見積もりを実際にみせながら交渉するのが一番だと思います。
 なお、複数の業者に来てもらうのが面倒だという時は、「過去の見積もり」を元に交渉するのもありだと思います。これはどういうことかというと、以前引っ越しを依頼した業者に見積もりに来てもらい、その業者の段ボールをみせながら「以前使ってよかったのでまた貴社でできたらと思います。前はこの金額でしてくれたので今回もこの程度でお願いします。」とお願いするとさっと現実的な金額を提示してくれるような気がします。
 よく、合い見積もりをしたらどんどん安くなって最初の数分の一くらいになった!という話をみかけますが、それはおそらく「閑散期かつ近距離」の場合が多いのではと思います。近距離の場合、地元密着の引っ越し会社などが格安で行うことも多く、それに合わせて大手も安くすることが多い気がします。しかし長距離になると大手しか引き受けてくれないことも多く、料金もそれほど安くはならないような気がします。

5.荷造り・荷解きサービスの利用

 歳をとると「引っ越しの荷造り」をするのが面倒になってくると思います。それならお金払って荷造りも荷解きも全部してくれるサービスを使いたいな~と思う人も多いと思います。
 前回の大学の異動の際、自宅の荷造りはできても研究室の荷造りを自分ですると本の整理をしたくなるだろうからものすごく日数がかかってしまいそう…と思って荷解きは自分でするけど荷造りは業者にしてもらうサービスを利用してみました。
 研究室に1日、自宅に1日それぞれ2人来てもらって荷造りをしてもらったのですが、まあプロがするので本当にさっささっさと済むので気持ちよかったです。
 まあ、本当に「あるものを整理することなくそのままその状態で荷造りする」ので、片付いていない状態もそのまま荷造りされてしまうのですが、自分がすると迷いとかあって1週間はかかりそうな作業を半日程度でしてもらえるのはやはり心地よいと思います。
 「十時間以上狭い席に座るのは嫌なので海外の飛行機は自費でもエコノミーではなくビジネス使います!」みたいな人は、その分のお金を引っ越しの荷造り代行に使った方がよさそうですよ~と思ったりします。

 まあ、ここまでいろいろ書きましたが結局引っ越しの満足度を一番左右するのは「当日担当してくださる人」にかかっているのは確かなので、いい人にあたることを祈っております。

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